私にしては大変珍しいことに、野球、観てきました。横浜球場へ。いや、もう何年振りだろう。わざわざ球場まで足を運んで、高いお金を払って、生で野球を観るなんて。
と、ちょっとトゲのある言い方になったのは、要するに、昔ならともかく、現在の私はさほど野球というものに興味がないから。応援しているチームもないし、好きな選手というのもとくにいない。どこのファンですか?と聞かれたら、とりあえず福岡出身なのでホークスと以前なら答えていたけど、最近ではそれも言わなくなった。
子供の頃は野球一色だった。長嶋茂雄の引退スピーチ(我が巨人軍は永久に不滅です、ってあれね)はリアルタイムでの記憶はないが、王貞治の世界記録更新のホームランはテレビ中継で観た。打った瞬間の映像は今でもわりと鮮明に覚えている。
また、その当時の漫画といえば、野球漫画である。私も『ドカベン』は単行本を毎巻買っていたし、『野球狂の詩』『あぶさん』『一球さん』など水島新司はほとんど読んだ。『プレイボール』『キャプテン』のちばあきおも好きだったなあ。
だけど『侍ジャイアンツ』とか『アパッチ野球軍』とかは、子供ながらに幼稚過ぎていまいちだった。思えばこの頃から、たとえ漫画といえども、あまりに現実を離れた荒唐無稽なものが出てくると、途端に興味を失っていたなあ。殿馬の秘打(わかる人にはわかりますよね)がギリ許容範囲だったのだろう。
もちろん遊びはほぼ野球だった。プロ野球観戦にも行った。当時の福岡は、西鉄ライオンズの時代はとっくに終わっており、太平洋クラブライオンズ、その後はクラウンライターライオンズ、と名を変えていた。ともに最下位が定位置の弱小球団であった。それでも、エースに東尾修がいて、四番は当時若干十九か二十そこらの若き主砲・土井正博が座っていた。
球場は西鉄ライオンズ時代と変わらず平和台球場。福岡市内にあって、私の地元の宗像市(当時は宗像郡)からはちょっと遠いので、最初は親に連れて行ってもらっていたが、友達同士、子供たちだけでも行った記憶がある。小学何年生のときだったのかは覚えてないが、いま思えば、よく子供だけで行ったなあ。
その後、ライオンズは西武ライオンズとなって所沢へ出てゆき、代わりに南海ホークス改めダイエーホークスが福岡に乗り込んで来るのだが、それはしばらく時を経てからの話。ホークスは新しく建てたドーム球場(現ペイペイドーム。変な名前になっちゃったね)を本拠地としたので、平和台球場は役目を終え、改修工事中に遺跡が出たとかで、現在は資料館みたいになってるんじゃないかな?詳しくは知らないけど、多分もう野球場ではないだろう。
そして私の方はといえば、私の通っていた小学校は1学年1クラス30人ほどしかいない小さな田舎の小学校なのだが、なぜかミニバスケットが盛んで、クラスの大半がバスケット部に入る。私も当たり前のように入り、そこから中学、高校でもバスケットを続けたから、野球とは離れた。野球はするものではなく、観るものになった。
以来、テレビで野球中継やってりゃたまには観るし、ニュースで試合結果をチェックしたりはするけど、球場へ行って観戦するようなファンではなくなった。べつに嫌いになったわけではない。誘われて気分が向けば行く。実際、福岡にいるときも当時付き合っていた彼女と何度かホークスの応援に行ったことはあるし、東京へ出て来てからも、東京ドームへは何度か行った。チケットを貰ったりしたときに。
東京ドームへは、娘がまだ小さい頃、家族3人で行ったのだが、幼い娘はもちろんのこと、カミさんもさほど野球には興味がなくてつまらなそうだった。そして私自身も、そのとき、はっきりと思った。ああ、野球なんか観ててもつまんねえあな、と。
というのは、その当時は(離婚する前、家族3人で暮らしていたときね)、遊びに行くにも何をするにも、娘が中心だった(子供がいればそうなるよね)ので、娘が楽しんでくれないと、親(つまり私)も楽しくはない。どこかへ出かけるのは、すべて娘のため。行き先を決める基準は、娘が楽しめそうなところ。というのは子供を持つ親なら同じようなもんでしょう。
だから、このとき、娘が楽しめない野球観戦には、もう行くことはないだろうな、と思っていたら、あらまっちゃん(あらビックリの意)。離婚して別居している間に大人になった(二十歳になった)娘が、なんと、意外なことに野球好きになっていた。それも、1人で球場まで観戦に行くほどの。
きっかけはわからない。まあ、なんとなく、でしょう。本人も説明できないぐらいの。それがいまや、好きが高じて神宮球場でアルバイトしているほどの野球女子。いや、広島カープが好きというから、カープ女子か。選手の名前なんか、私よりもよっぽど詳しく知ってますぜ。いやはや。
というわけで、この間久しぶりに会って食事したとき、WBCの話で盛り上がったので、じゃあ、今度野球観に行く?と試しに言ってみたら、行く!と即答。その場でスマホでチケットの手配をチャチャッと済ませてしまった。いやはや。
それが先日の横浜ベイスターズvsヤクルトスワローズ戦。横浜球場である。試合開始は午後5時半ぐらい(正確な時刻は忘れたけどまあいいですね)。開始前に軽く何か食べようと球場近くにあったジョナサンに入ると、ハッピーアワーで生ビールが安かったので、3杯ほど飲んだ。球場内で飲むと高いからね(我ながらせこいね)。
それからコンビニでお菓子など買って、いざ、入場。あいにくの雨模様で、時々雨に降られるも試合後半にはすっかり雨は上がって、気持ちよく過ごせた。気持ち良ければビールも進む。球場に来たら生ビールの樽を背中にしょって走り回っているお姉ちゃん(あれ何ていうんですかね?)からビールを買うのも楽しみの一つだ。
まあ、高いけどね。一番搾りや黒ラベルなんかは1杯800円。3種類あるクラフトビールは850円だ。まあ、しょうがなない。雰囲気雰囲気。驚いたのは、PAYPAYが使えること。キャッシュレスもここまで進んでいるんだなあ。私もキャッシュレス派で現金はほとんど持ち歩かないので、ラクでいいね。
そんなこんなで試合中はずっとビール飲みっぱなし。不思議なことに、いつもならビールはすぐ腹一杯になってしまってそうそう飲めないのに、今日はなぜかどんどんいける。やっぱり雰囲気だろうねえ。調子に乗ってどんどんお姉ちゃんを呼ぶ。娘まで遠くにいるお姉ちゃんを立ち上がって呼んだりして、それなりに楽しそうで、よかった。
調子に乗って何杯もお代わりして、後でpaypayの履歴をみたら、7杯も飲んでいた。その前にジョナサンで3杯飲んでいるから計10杯だ。いや~、久しぶりに飲み過ぎた。帰りはヘロヘロで、無事に帰れはしたが結構な二日酔いだった。ビールだけで二日酔いは初めてではなかろうか。
あ、試合ですか。えーっと、よく覚えてないけど、横浜の誰かがホームランを打って、横浜が勝ちました。あと村神様は全然ダメでした。スランプと言われてますが、相当重症のようです。かろうじて覚えているののはこれぐらいで、あとはなーんも覚えていない。何しに行ったんだ?っておっしゃる方には、ビールを飲みに行ったんだ、文句あるか?としょうもない啖呵を切って、今回はこれにて。それにしても、ビールを売っているお姉ちゃんがみんな可愛く見えるのはなんででしょうかね?