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前回のブログで、コロナで休業していた知り合いのイタリアンバーが、先月、いや、もう先々月になるかな? 晴れて、というか、やっと、というべきか、なんにせよ目出度くリニューアルオープンにこぎつけた、ということで、私がバイトしている清掃業の仕事仲間が、お祝いに集まってくれた、という話をしましたが、その続きです。

その日は日曜日であった。このイタリアンバーは、リニューアルオープンはしたものの、マスターが休みボケだか何だか知らぬが、リハビリ中などと甘えたことをほざいて、土日は休む、という。しかし、清掃の仕事仲間が集まれるのは日曜ぐらいしかない。清掃の仕事は毎日あってシフト制、つまり交代で働いているからね。なので事前にマスターに連絡して、わざわざ日曜に開けてもらった。通常は休みの日だから客は私たちだけかと思いきや、当日、他に常連客が2人来て、そのうちの1人は例の脚本家の先生だった。

例の、というのは、その先生が書いた脚本を、いま私が小説化している、という関係があるからだが、先生はその日、私がその店に来ることをマスターから聞いて、わざわざ私に逢いに来たらしい。だったらその脚本のことで何か急用でもあるのか、と思ったら、どうやらそうではなく、ただ私と話がしたかっただけのようだ。どんな話かというと、まあ、好きな映画、とか、今までどんな小説を読んできたか、とか、そういう類の話ですよ。なにしろこの先生、自分でも言ってたけど、文学少年がそのままジ、いや、大人になったような人だから、ねえ。

しかし正直いえば、そんないつでもできる話は、別の日にしてほしかった。なにしろこの日は、せっかく私の仕事仲間が集まってくれて設けた席だから、と、内心思いながらも、来てしまったものはしょうがない。私は仕事仲間の話の輪からは外れて、先生と2人で話し込んだ。まあ、先生は先生なりに、わざわざ時間をとるよりも、ついでの方が私もいいんじゃないか、と考えてのことだろうから、無下にはできぬ。どころか、この先生の脚本があるから私も仕事を頂いたわけだから、丁重にお相手を務めさせていただいた。

そういうと、なんだかいやいや相手をしたように聞こえるかもしれないが、そんなことはないので誤解のないように。考えてみれば映画や文学の話ができる相手なんか、社会人になって以来? いや、上京して以来かな? とにかくずっと身近にいなかったから、それはそれで、なんか新鮮な感じではある。と、まあ、そんなふうに、清掃とはまったく関係のない話を先生としていたさ中、「原稿はどうやって書いているか」という話になって、「パソコンですね。昔はワープロでしたけど」「ワープロ、懐かしいねえ」とかなんとか喋っていたら、清掃仲間の1人が耳聡く聞きつけて(狭い店内だからね)、「○○さん(私のことです。別に伏せなくてもいいんだけど、念のため)、パソコン使えるんですか?」と、言ってきた。

おっと、これはこれは、ごあいさつですなあ。ええ、使ってますとも、こう見えて。少なくとも1日3~4時間、多い日で10時間以上、つまり家で起きている時間はほとんどパソコンの画面を見ている、といっても過言ではない生活を送っていますが、何か? 言っちゃあ悪いが、アンタより私の方がよっぽど使っていると思いますぜ、パソコンなら。少なくとも清掃業のような現場仕事をされておられる方々の中では、かなりのヘビーユーザーであることは間違いないであろう私に向かって、言うに事欠いて、使えるんですか?とは、失礼な。一体私のことを何だと思っているんだ?

なんて、怒るのも大人げないのでその場は笑ってやり過ごした。けどもやね、どうやらこいつは、五十過ぎのオヤジはみんなパソコンが苦手、と思っている節がある。私のことも、本業がライターであることは知っているはずだが、よくよく聞いてみると、どうも私は、手書きで文章を書いている、というイメージらしい。そりゃあ、アンタたちが働いている職場(私も含めてだけど)では、いまどきLINEも使えないオジさんもいれば、いまだにガラケーを使っている猛者もいるぐらいだから、そんなふうに思うのも無理はないかもしれないけど。

しかし、これまで何度も述べてきた通り、私にとって清掃業はあくまでアルバイト。本業のライター業ではパソコンは必需品である。言っとくけど、いまどき手書きのライターなんて、よっぽどの年寄り、もとい、大御所ぐらいしかいないからね。私と同世代のライターはほぼ100%パソコンと言っていい。ワープロもすでに絶滅のはず。だって、原稿をメールで送れないライターなんて、編集者が使わないからね。

もっとも、かくいう私だって、トラブルシューティングとかチュートリアルとか、ITのテクニカルな方面は苦手な、どちらかといえばアナログ人間である。それでも、インターネットは普通に閲覧も検索もネットサーフィンもするし、文章はワードで書くし、かつてはパワーポイントで企画書なども作成していたし、エクセルはほぼ見るだけで表計算は覚束ないけど、4年ぐらい前にはインデザインで雑誌のレイアウトを丸々一冊やったこともある。仕事でパソコン使ってりゃ、それぐらいはできて当たり前だろう。

要するに、何が言いたいかというと、五十過ぎのオッさんだって、パソコンぐらい使えるぞ、なめんなよ、と……いや、違うな。言いたいのはそういうことではない。それにパソコン使えりゃ偉いわけでもなんでもない。大事なのは、パソコンを使って、何をするか、だ。私の場合は、一応文章書くのが仕事だから、パソコンで文章を書く=パソコンを仕事で使っている、ということで、まあ、生産的な使い方をしている、と言っていいだろう。

とはいえ、これも過去何度も述べているが、情けないことに、ライター業すなわち文章を書く仕事は、年々減少しており、現在はほぼ小遣い稼ぎ程度。先月から例の脚本の小説化の仕事が入って若干は増えたものの、先ほど述べた多い日で1日10時間以上ものパソコン画面を見ている時間、そのすべてが仕事というわけでは、さすがに、ない。昔はあったが、今はとんとない。

仕事じゃなければ、一体何をしているかというと、その時々で色々あるにせよ、ここ1、2年を振り返って、結局、一番多いんじゃないかなあ、と、反省も込めて挙げるのは、やはりYoutubeである。これも以前このブログで触れたけど、とくに面白くない動画でも、なんとなく見ちゃうよねえ、Youtube。反比例して、テレビの視聴時間は減った。以前は朝起きた時も外出先から帰宅したときも、とりあえずテレビを点けて、パソコンしながらでも本を読みながらでもチラチラと見ていたもんだけど、最近は気がついたらテレビを点けないまま1日が過ぎていた、なんてことがザラにある。それでも、パソコンを開けばヤフーニュースを見るし、スマホでもLINEニュースを見るから、世間の情勢に疎くなった感はないけどね。テレビ離れの時代、なんだろうな。

で、Youtubeで一体どんなものを見ているのか、だけど、とくに意識せずとも自然と多くなるのが、飲食系。ただ食べたり飲んだりしているだけの動画のどこが面白いのか、わからないのについつい見ちゃうのは、何故なんだろうね? そういう飲食系のヨYoutubeをいくつか見ている中で、一つだけ挙げるなら、いま密かに新作を楽しみにしているのが、たっちゃんねる、だったかな? 名古屋在住の冴えないオッさんが、ただただ飲み食いするだけの動画。だが、しかしこのオッさん、ビール好きだけど飲むわ飲むわ、飲兵衛だった私の若い頃でも到底及ばないほどよく飲むし、ランチでもディナーでも4、5軒はしごは当たり前の大食漢。そのうえ、朝も早よからゴルフやジムに行ったり、腹ごなしに雀荘やゲーセン、時にはキャバクラ、遠征の一人旅もしばしば、と、とにかくよく遊ぶ。感心するほどアクティブなオッさんであるが、当の本人は顔も晒さず(食べるシーンは顎から下)、声さえ出さず(すべて字幕)、それでいて登録者数や再生回数を稼いでいるのは、編集が上手いからだろう。こんなただ食べて飲んで遊んでいるだけの動画で、しかも顔出ししないで、さぞかし稼いでいるんだろうなあ、と思うと羨ましく、私もやってみようか、とさえ思う反面、こんな大量に飲み食いはできないから無理だよなあ、と、羨望と諦観が入り混じった複雑な感情で見ている。

ところで、Youtubeって、とくに検索とかしなくても、勝手に興味ありそうな動画が上がってくるよねえ。以前、このブログで私の高校大学の先輩である故・中村哲医師のことを書いたら、すかさずYoutubeに中村医師のドキュメンタリーか何かの動画が上がっていたのには、驚いた。多分、ヤフーで検索したからだろうけど、こういう機能もYoutubeが飽きない要因の1つだろう

それでいえば、私のパソコンのYoutubeではなぜか、無職だの、借金だの、いわゆる社会の底辺系の動画が多い。それはつまり、私がそういう類のものを好んで見ている、ということだ。何故そういうのが好きなのかはわからない。恐らく私の中に、他人事ではない、明日は我が身だ、という意識があるから、かもしれない。そういえば漫画では、「ナニワ金融道」と「闇金ウシジマくん」が大好きである。

そうした底辺系の動画の中から1つ挙げるなら、多分ただのフリーターの略だと思うが、ただフリ、かな。こいつは36、7歳ぐらいの東京一人着らしだったが、給料日ルーティンを見ていると、毎月、せいぜい10万いくらしかない給料のほとんどがローンの返済や家賃その他で右から左へと消えてゆき、手元にはほんの数万円しか残らない。それで生活できるわけがない、一体どうすんの? と思って見ていたら、しばらくするとYoutubeの利益が入るようになったらしく、不相応な外食をしたり、ブランドものの服を買ったりしはじめた。

おいおい、贅沢するのはローン(=借金)を全部返し終わってからにしろよ、と突っ込みながら見ていたら、いつしか動画が上がって来なくなった。気になってわざわざ検索すると、なんと、青森県八戸にある実家に戻っていて、しかもローンは完済した、というではないか。おお、底辺からの脱出に成功した勝ち組ユーチューバーか? ただし、八戸でも派遣の工場勤務を数日で辞めたり、ウーバーイーツの配達員をするもたった1日で根を上げたりと、ダメっぷりは相変わらず。むしろ実家でぬくぬくしている分、東京にいるときよりもヒドい気がする。そうこうするうち、今度は、俺には音楽しかない! と言いつつ、やたら高い音楽機材をバンバン買いはじめた。ネットミュージシャンとして、作詞も作曲も歌も演奏も、すべてを1人でやる、らしい。身近にこんなのがいたら困るけど、傍から見てる分には面白いなあ。とにかくダメっぷりが突き抜けている。

ところが、意外や意外。そうして暫く後に上がってきた動画で披露された楽曲が、悔しいけど、いいんですよ。彼はフリーターになる前はミュージシャン志望だったようで、その片鱗は動画の編集や選曲に現れていた、と、今にして思うが、ちゃんと楽曲をつくれば、これほどのものがつくれるとは、恐れ入りました。続けて発表した2曲目も私はいいと思うよ。「自分の才能を信じてます」という彼の言葉を笑ってすいません。もしかしたら君、才能あるんじゃない?

もっとも、曲や歌詞はいいけど、残念ながら声が悪くて歌唱力もイマイチ、本人はかっこいいつもりで撮ったミュージックビデオも、ルックスで一目瞭然だが悪いけどお笑いレベル(そういえば彼はお笑い芸人を目指した時期もあったらしい)なので、この2曲だけでネットミュージシャン(というのがあるのかどうかもしらないが)としてやっていけるかといえば、それは難しいでしょうね。でも、ミュージシャンは無理でも、現にユーチューバーとして食えているわけだから、そのまま続けていれば、もしかしたらどこかでバズって、道が開けるかもよ、と思ったけど、本人はその気がないようで、その後また就職活動をして、今度は正社員となった。それから1週間ぐらいはやる気を出して働いていた、ようだったが、最新の動画で、また「正直、辞めたいです」だって。笑っちゃうよねえ。

その動画では、辞めたいけど、せっかくの正社員だから、住宅ローンが組めるようになるまで1年ぐらいは我慢して、ローンが組めたらさっさと辞める、みたいなことを言っていた。ひでえなあ。結婚もしてないしその予定もないくせに、家を買うのが目標だそうで。とにかくやることなすことダメダメ、最もお友達にはなりたくないタイプだけど、それが逆に怖いもの見たさみたいなもので、目が離せない彼について、語りだしたらついまた長くなり過ぎた。他にも取り上げたいユーチューバーやYoutubeチャンネルはたくさんあるが、それはまたの機会に。よろしければ高評価とチャンネル登録お願いします(←Youtube動画の決まり文句で締めてみました)。