覚えておられる方は少ないと思うが、当ブログで美術館や博物館へ行った話を何度かアップしていた時期がある。もう2年以上、いや、もしかしたら3年以上も前になるかな。その当時、私はとくに造詣が深いわけでもないが、素人ながらに絵画や写真、彫刻などいわゆるアートと称される類のものが好きで、また歴史も好きだから仏教美術や江戸文化などにも興味があり、ヒマがあれば美術館や博物館へ行っていた。足繁く通っていた、と言ってもいいぐらいであった。
しかし、ある時期を境に、そうした美術館や博物館の話はプッツリ途絶えていたので、賢明なる読者様の中には、ははーん、もう飽きちゃったんだな、と思ってらっしゃる方もおられることでしょう。ったく、熱しやすくて冷めやすいヤツだ、なんてね。
ところがところが、さにあらず。たしかに、自分の飲食店をオープンした一昨年あたりから多忙で時間がとれなかったり、同行者がいなかったりで美術・博物館から足が遠のいていた期間はあった。が、じつはここ半年前あたりから密かに再開していたんですねえ、これが。まあさすがに足蹴く通った一時期ほどの頻度ではないにせよ、最近になってたまの休日を利用するなどして、ポツリポツリとまた美術博物館へ行っている。行ったけどブログには書いてないだけである。
じゃあなぜ、せっかく行ったのに書かなかったのか?というと、まあ、ここ2年ほどは母親と父親が相次いで亡くなったりしたことで単純に忙しかった、というのもあるんだけど、正直にいえば、忙しいのを言い訳になかなか手が付かず、ここんとこブログの更新頻度がだいぶ減っている、というのが一番の理由かな。ネタはあるんだから書けよ、と自分でも思うんだけど、ついつい先延ばしにしているうちにどんどん間が空いて、結局書かない、という悪循環。
なにしろ、引っ越しして1年半ほど経った今なお、段ボールの山さえ片付けずにそのまま放置。ほとんど引っ越ししてきた当初のままの荷物に囲まれて生活しているほどの、折り紙付を超えて段ボール付の怠惰な私である。いや、生活ならできればいい。問題は仕事で、締め切りがないと書かない、いや、書けない、というのではライターとしては失格だな。もっとも、いまやライター業はほぼ廃業同然だけど。
まあそんなわけで、久しぶりの更新となる今回は、久しぶりに美術館へ行った話をしたい。かなりあちこちで話題になっているようなのでご存じの方は多いと思うが、5月29日から上野の森美術館で開催されている「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」へ行ってきた。という話である。
本展は、オランダのデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園内にある「クレラー=ミュラー美術館」が所蔵するコレクションから、フィンセント・ファン・ゴッホの傑作の1つとされる「夜のカフェテラス」をはじめとする約60点の作品と、モネやルノワールなど同時代の作品を展示。ファン・ゴッホの画業を2期に分け、足掛け4年に渡って紹介する壮大なプロジェクトで、1期は阪神・淡路大震災から30年を迎える神戸で2025年9月20日に開幕。2026年2月1日まで神戸で開催された後、続いて2026年2月21日から5月10日まで、東日本大震災から15年を迎える福島で開催された。
そして5月29日から東京へ。つまり神戸~福島~東京と巡回してきたわけで、これは珍しいよね。いや、日本各地を巡回する展覧会は珍しくはないけど、巡回するならたいてい東京以外は大阪や札幌、福岡など地方でも大都市で開催されるのがほとんどだろう。そりゃそうだよね。巡回するならなるべく人口の多い都市を選ぶのが当たり前だ。
ところが、この「大ゴッホ展」は神戸・福島・東京で開催。神戸と福島はそれぞれ阪神淡路大震災と東日本大震災の被災地だから、震災からの復興や慰安などの意義もあるんだろうけど、神戸はともかく、福島でそんな人が集まるのか?と余計な心配をしていたら、なんと福島では開催期間を延長するほどの大盛況だったそうで。いや~、ゴッホ人気は凄まじい。
そして当然の如く、東京での開催場所となった上野の森美術館でも長蛇の列。しかもその行列は閉館時間が迫っても途切れることなく、私たちが鑑賞を終えて出てきた午後4時くらいになっても続いていた。いやいや皆さん、今から並んでも入れるかどうかもわかんないですよ、と声をかけたかったが、それは大きなお世話ですな。
その行列の長さは、以前行ったモネの展覧会を思い起こさせた。そのときは、日本人はモネが好きなんだなあ、と感心したものだったが、間違いなくモネより知名度があるゴッホだけに、行列は当然といえば当然か。絵画に興味がなければ恐らくクロード・モネの名は知らない人も多そうだけど、フィンセント・ファン・ゴッホなら、絵画に興味がなくても誰でも名前ぐらいは聞いたことあるだろうからね。バスケットボールに興味がなくてもマイケル・ジョーダンは知っているのと同じようなもんである。例えになってないかな?
「クレラー=ミュラー美術館」は、世界第2位の規模を誇るゴッホ・コレクション(油彩90点・素描180点)にピカソ、モネなどの作品と、森の中に近代彫刻が展示された広大な彫刻庭園が有名だそう。その中でもゴッホが1888年9月にアルルのフォルム広場に実在するカフェ(今もあるそうですよ!)をガス灯の黄色い明かりのもとで描いた「夜のカフェテラス」は、夜空の青と黄色い明かりがそれまで夜空を黒か灰色にしか描かなかった西洋絵画としてはかなり斬新な表現とされ、ゴッホのアルル時代を代表する名作といえる。
ゴッホといえば「ひまわり」が有名、というか代表作で、もう3年ほど前になるかな、私がせっせと美術館に通い出した初期の頃、新宿にある「SONPO美術館」で「ひまわり」の実物を見てきた。というのはたしか過去ブログに書いた。
このときも勿論混んではいたが、今回の「大ゴッホ展」ほどの込み具合ではなかった、ように記憶している。お目当ての「ひまわり」と、もう1つ有名な「アイリス」の前には当然人だかりができていたが、さほど待つことなく写真が撮れて、一時期私のLINEのアイコンに「ひまわり」を使っていた。ちなみに今の私のアイコンは、ゴッホが描いた私の肖像画である。これは、もしゴッホが生きていたら、こんな風に描くだろう、というのをAIが描く、そんなイベントというか企画をとある展覧会で実施していて、私もそこで描いてもらったもの。だけどこの話も過去ブログで書いたっけ。
さらに、ブログには書いてないと思うが、昨年の12月ぐらいに、上野の森美術館と同じく上野公園内にある「東京都美術館」で、「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」という展覧会があり、じつはこれにも行っている。
ゴッホには弟のテオという支援者がいたことはよく知られているが、ゴッホとテオが亡き後、ゴッホの作品を守り続けたのがテオの娘など子孫たちである。ゴッホの作品がこれほど有名になり、高額にもなった背景には、そうした人々の努力があった。ということをこの展覧会で初めて知り、感銘を受けた。
そのゴッホの作品群をもとに設立されたアムステルダムにある「ファン・ゴッホ美術館」は、いまや世界最大のゴッホ専門美術館であり、代表作「ひまわり」(SOMPO美術館所蔵の「ひまわり」の他にも数点「ひまわり」はある)や初期の代表作「ジャガイモを食べる人々」、アルルの「ファン・ゴッホの寝室」などの他、ゴッホ以外の作品も多数所蔵する欧州屈指の美術館であるそうな。行ってみたいねえ、死ぬ前に一度は。
話を戻すが、今回の「夜のカフェテラス」の来日は、約20年ぶりのことなんだとか。20年前といえば、私は某夕刊紙の契約社員だった頃だけど、そんなの知らなかったなあ。その頃は美術になんか興味なかったんだろうな。いかに薄っぺらい、にわか美術ファン(私のことです)であるかがバレるな。
とはいえ、そんな私でもこの「夜のカフェテラス」は、よくは覚えていないが、恐らく美術の教科書かなんかで見たことがあり、今回実物を見ることができるのを楽しみにしていた。逆にいえば、それ以外はどうでもいい、とは言い過ぎか。せっかく来たからには、それ以外の絵もどうでもよくはなく、興味はあるが、しかしどうせ行く前から大混雑はわかっていたし、並ぶのが嫌いな私は、たとえ興味はあっても、絵の前に立てるまでじっと待つ、なんてことができない。わざわざ足を運んでおいてなんだけど。
ということで、館内に入ると、館内でも絵の前にズラッと人が並び、ひしめきあい、目の前で絵を見れる順番を待っていたが、そんな人だかりを尻目に、人の頭越しにチラッと絵の眺めては、はい、次へ。どんどんスルーしてお目当ての「夜のカフェテラス」に辿り着けば、ここだけは人だかりではなく、仕切りが設けてあってテーマパークの順番待ちのような幾重の列が。でも、まあ、この方が、順番を待ちさえすればじっくり見れるからいいか、と思い、並ぶのが嫌いな私でもここだけは大人しく行列の最後尾に並び、10分か15分ほど待っていよいよご対面。
それでもまあ、じっくり鑑賞、というよりは、写真を撮ることに懸命で、せっかくの「夜のカフェテラス」を堪能するまではいかなかった。けど、人気があって混雑している展覧会ではいつもこんなもんである。写真が撮れただけで満足して、「上野の森美術館」を後にした。
それにしても不思議なのは、館内では全面的に写真撮影は禁止、なのにこの「夜のカフェテラス」と、もう1点、「バラとシャクヤク」というタイトルの私は見たこともない絵だけ、撮影OKだったこと。まあ、あまりに有名な「夜のカフェテラス」はわからなくもない。どうせ撮影禁止してもこっそり盗撮するヤツは必ずいる。ならばいっそ撮影OKにして、SNSで拡散してもらうほうが、お金もかからず宣伝になる、という判断だろう。「SOMPO美術館」の「ひまわり」と「アイリス」もそうだったからね。
わからないのは、もう1点の撮影OKの絵である。なぜこの絵が撮影OKなのか?もしかしたら私が知らないだけで、美術やゴッホに詳しい人ならわかるのだろうか。その絵もここに載せとくので、誰か知っている人がいたら教えてください。
美術鑑賞の後は、とくに欲しいものがなくても、なんとなくギフトショップに寄ってあれこれ物色するのも楽しみの1つ。だが、「上野の森美術館」のギフトショップへ行くには一度外へ出なければならず、その外にあるギフトショップの入口にも当然の如く長蛇の列。これではギフトを買いたくても買えない人が多く、売り上げも伸びないだろう、と、ここでも余計な心配をしてしまうが、まあ、どうしても買いたい人はそれでも行列に並ぶんだろうなあ。ご苦労様です。
その後はお待ちかね、恒例の上野飲み、である。まずは、いつも満席で入れない超有名店「大統領」へ。このときは本店ではなく、支店にたまたま空席があったので素早く着席。看板メニューのもつ煮を注文。「大統領」といえばもつ煮、というぐらい有名で、そのもつは牛や豚ではなく、馬のもつを使っている。という知識を予め仕入れていたので、期待していたが、いざ出てきたもつ煮は意外に普通で、これが馬のもつなのかどうかも分からない、味も普通だった。
同じ「大統領」でも本店と支店とでは違うのかな?そう思い、店員に訪ねようとしたが、いかにもやさぐれたおっちゃん店員が無愛想で話しかけづらかったので、聞くのはやめた。今度は本店に行って確かめよう。なかなか本店には入れないけど。
そこで「大統領」支店はさっさと切り上げ、お次は肉料理に定評があるという「おとんば」へ。ここはよかったなあ。写真を撮るのを忘れたが、評判通りの安くて旨い肉料理を堪能した後、次に向かったのが、「まるわ」である。
じつはここ、以前にも来たことがあり、そのとき食べた「皿なんこつ」があまりに旨くて、今回再訪した次第。「皿なんこつ」、ご存じですか?私もこの歳になるまで知らなかったが、つい最近、Youtubeで見て、どうやら上野界隈のやきとん屋、いや、若者風にいえば、上野のやきとん屋界隈では知る人ぞ知る名物らしい、と知って、わざわざ「皿なんこつ」を食べるためだけに上野へ行って、ハマった。
え?どんな料理かって?うーん、料理というほどのものでもないが、一応説明すると……いや、ここでは止めておこう。いまこの原稿を書きながら思いついたのだが、この「皿なんこつ」をタイトルにして原稿1本書けるじゃないの。うん、よしよし、次回のブログのテーマはこれで決まりだ、と、珍しく次回予告までして今回はこれまで。
ちなみに「大ゴッホ展」について言い忘れてたけど、第2期は「アルルの跳ね橋展」。すなわちゴッホのアルル時代のもう1つの代表作が70年ぶりの来日となり、第1期と同様、神戸・福島・東京を巡回し、2027年2月6日から5月30日まで「神戸市立博物館」、2027年6月19日から9月26日まで「福島県立美術館」、そして2027年10月9日から2028年1月30日まで「上野の森美術館」で開催予定。これも楽しみだな。まだだいぶ先だけど。