引っ越し

引っ越し

冬が終わり春を迎えようとするこの時期は、寒かったり暑かったりを繰り返しながら徐々に陽気を強めていく。というのは例年いつものことなので取り立てて言うまでもないが、近年はその寒暖差がちょっと、いや、かなり激し過ぎやしませんか? とくに今年は、寒さが繰り返す、というより、まるで季節が後戻りしたかのように、そろそろ春だというのに今年一番の寒さじゃね、と思うほど寒く凍える日が何度もあった。つい最近(この原稿を書いている日の2,3日前)まであった。総じて例年より寒い冬であった。

まあそう感じるのは、私が昨年末ぐらいから、つまり今冬からフードデリバリーの仕事を始めたから、というのも大きな理由だろう。当たり前だけどデリバリーに行くのは天気の良い日ばかりではない。身を切るような冷たい風に吹かれた日もあれば、氷水のような雨に降られて凍える日もあり、とにかく辛かった。いや、デリバリーって、大変な仕事ですよ。

しかも、大変な思いをした分稼げればまだいいが、過去ブログで書いた通り、私がやっているのは自分の店のデリバリーだから、それでお金が貰えるわけではない。その労力は店の赤字の補填に回る。しかし、客単価が低いので(その理由はまた別の機会で)、配達してもしても雀の涙。それでも数をこなせればまだいいが、肝心の注文数もここのところめっきり減っており、悲しいことに注文ゼロの日も珍しいことではなくなってきた。いかんなあ。

注文がなければデリバリーに行かなくていからラクでいいじゃん、とはいかないよねえ。自分の店だから。デリバリーに行くのは辛いけど、注文がないのはもっと辛い。というジレンマ。やっぱり素人には店の経営なんて無理だったか?

バイクで配達する写真

なんてつい愚痴をこぼしてすいません。ブログで愚痴を読まされるなんて、たまったもんじゃないよ、という読者様のお叱りは真摯に受け止めまして、話を変えます。唐突ですがじつは私、引っ越ししました。といっても同じ荒川区内ですけど。歩いて行くにはちょっと遠いけど、クルマならものの5分もかからないほど近くにあるアパートに引っ越すことになりました。

引っ越しの際は、業者を頼まず、軽トラックのレンタカーを借りて、自分ともう1人、店で雇っているインド人の2人だけで荷物を運んだ。店が赤字だから、引っ越し屋に頼むお金さえ惜しかったのと、近いから何度も往復すれば大丈夫だろう、と思って。

それが、いや、もう大変だった。もともと、よく言えばモノ持ちがよい、悪く言えばケチでモノを捨てられない性分の私が、戸建ての一軒家から引っ越してきたときに整理もせずとりあえず持ってきたものと、この10年で溜め込んだものの物量は、想像を遥かに超えていた。普通のひとり暮らしの男性の軽く3倍ぐらいはあった、と思う。

しかも、それらを引っ越す前に整理したり、まとめたりする時間がまったくなかった。なにしろ介護の清掃のバイトの時間以外はほとんど店に詰めていたからねえ。そういえば、今年に入ってまるまる1日休んだ日はないんじゃないか。それぐらいずっと働いているから、ほんとは引っ越しどころじゃないんだけど、そのアパートへ移ることが決まったとき、ちょうどそれまで住んでいたマンションの契約更新が迫っていた。

つまり、契約更新の前に引っ越せば、家賃一か月分の更新料と不動産屋の手数料(家賃半月分)を払わなくていい。なので、このクソ忙しいさ中でも無理やり引っ越しせざるを得なかった。なにしろ更新料と手数料合わせて11万5500円+消費税。これが浮くのはデカい。

結局、レンタカーを借りて引っ越し作業を行ったのが更新日の前日のこと。しかし、前述のごとくモノがあまりに多いうえに、それまで何の準備もしてないから、当然時間がかかる。軽トラで5往復ぐらいすれば終わるだろう、と踏んでいたけど、その日は結局3往復しかできずに終了。それでも残りは半分以上あった。

仕方ないのでレンタカー屋に連絡して軽トラをもう1日延長し、不動産屋にも連絡して鍵を返すのを1日待ってもらい、翌日作業を再開。それまでは分別なんかせずとりあえず一切合切段ボールに詰めて運んでいたのだが、これでは埒があかんと、捨てるべきものはどんどん捨てる、と方針を変えた。最初からそうしろよ、と言われそうだが。

さらに、新居となるアパートは2LDKで広く感じたが、いざ荷物を運び入れると意外に狭いことに気がつき、これはいかん、と、運ぶつもりだった本棚の1つを捨てた。粗大ゴミに出す時間はないから、近所のホームセンターで電動ノコギリを買ってきて、細かく裁断してバラバラにして、普通のゴミに紛れ込ませた。あたかもバラバラ殺人事件の犯人になったかのような気分である。

ところが、買ってきた電動ノコギリが安もので、すぐ歯が外れたりしてなかなかスムーズにいかない。これはこれで大変な作業である。なので、本棚に続いて箪笥と、鏡がついた名称がわからない家具もバラバラにするつもりだったがあきらめ、またもや方針転換。試しに近所のリサイクル屋に持ち込んでみた。すると、予想通りだが買い取りは不可。処分するなら6千円かかる、という。高い、と思ったが、しょうがない。6千円払って処分してもらった。なにしろ粗大ゴミに出す時間がないからね。高いけど、その場で処分できて有難かった。

そんなこんなで、2日目も3往復して、なんとか終了。それでもまだ、旧居のマンションにはゴミ袋の山が残っている。が、それはそのまま玄関の前に積んだまま、とりあえず不動産屋へ行って鍵を返した。レンタカーも返し、その日は清掃の夜勤の仕事へ出勤。そして夜勤明けの早朝、旧居へ行ってゴミを出した。いやはや、我ながら、ご苦労さん、であった。

それにしても、なんでまた、仕事が変わったわけでも環境が変わったわけでもないのに、わざわざ引っ越したかというと、理由はただ1つ、家賃、です。詳しくは言えないけど、前の住人が夜逃げしたのでその後に入るという、いわゆる“訳あり物件”で、訳ありだけに、なんと家賃がタダ、ですと。そりゃ喜んで移るよねえ。どんな訳ありだろうと、家賃タダならたいがいのことは我慢できる。とくに店の赤字を自腹で補填している今の私にとって、これほど有難い話はまずない。だって、今まで払っていた家賃7万7000円がタダになるということは、なにもしないで収入が7万7000円増えるのと同じことですぜ。いや、これは助かる。

マンションの風景

で、新居となるアパートについて、ですが、お気づきでしょうか? 旧居をマンション、新居はアパート、と表記していることに。いや、そまではマンションとアパートの違いなんか気にしてなかったんだけど、いざ住んでみると、その違いを実感したもんで。旧居はボロくて狭いとはいえ、曲がりなりにもマンション住まいだった私にとって、新居となるアパートは、移ってみれば、ああ、こんなにも違うんだなあ、と。

ちなみにマンションとアパートの違いとは、正式な定義というものはないみたいだけど、通常は鉄筋コンクリ―ト造をマンション、その他の木造やモルタル、軽量鉄骨造などをアパート、という区別が一般的だとか。あと、エレベーターの有無で分ける場合もあるようで、私もこの度はエレベータ付き7階建(私が住んでいたのは3階)のマンションから、軽量鉄骨3階建アパートの2階に引っ越したわけだが、もちろんエレベーターはない。どころか、1階は前面駐車場で、まるで非常階段のような簡素な階段しかなく、荷物を運び上げるのも大変だった。

そして、その訳ありアパートでの生活が始まって、じつはもうすでに1カ月は経っているのだが、1カ月経っても依然、段ボールが山積みの部屋で、荷物に囲まれて、というより、荷物のすき間で寝泊まりしている。まだ住める状態ではなく、ただ寝泊まりしている、といったほうがふさわしい生活が今もまだ続いている。やれやれ。

まあ、1カ月も経つのなら、その間に少しは片付けできただろう、とお思いでしょうが、いや、ほんとにそんなヒマないんすよ。介護と清掃のバイトに行く他の時間はほとんど店に詰めている生活が続いているので、単純に忙しいし、さすがにトリプルワークは疲れて、新居に帰ると次の出勤まで1秒でも長く寝ていたい。また引っ越しに当たって、役所への移転手続きや各所への住所変更など、色々やらなきゃいけないことがたくさんあるから、どうしても片付けは後回しになってしまう。

という次第で、引っ越しはしたものの、部屋の片付けは一向に進まず、片付けもできないぐらいだからこのブログの更新もとても手が回らず、ここ1カ月ぐらいは更新が途絶えてしまってすいません。でも、片付けはまだだけど、ブログの更新はいつまでも止まったままではあかん、ということで、ようやっと、引っ越しをネタに書いてみたところで、今回はここまで。次回は、マンションからアパートに移って、どこがどう違ったのかを、具体的に書いていきたい。なるべく早く、さほど間が開かないうちに。ではまた。