もともと政治や選挙というものに対して造詣が深いわけでもなく、関心も人並み程度しか持っていないので、選挙の結果が自分の予想とは違っても、さほど驚くことはない。ふーん、そうか、と思うだけで。まあ選挙の予想を立てたりするのは世間的な関心の高い選挙だけで、普通の選挙だと予想なんかしないけどね。
だから先日の自民党内での総裁選で石破さんが選ばれたときも、アメリカ大統領選でトランプが勝ったときも、私の予想とは違ったが、べつだん驚きはなかった。ふーん、なるほどねえ、ぐらいのもんである。しかし、今回の兵庫県知事選挙の結果には、ビックリしましたねえ。驚愕した、といっていい。こんなことって、あるのか、と。
だって、パワハラ疑惑で告発され、県議会から不信任を議決された斎藤知事がですよ、失職もしてまさに四面楚歌の状況で挑んだ今回の選挙。勝てるわけがない、と思ったのは私だけではないでしょう。いうなれば日本国民の誰もが、すなわち世論が、落選して当たり前だ、と思っていたのは間違いない。不信任の可決、とはそういうことだろうし、百条委員会というものはよく知らないけど、世論を代弁するような気概で調査や尋問にあたっていたのは、連日の報道を見ていればよくわかる。こんな知事で恥ずかしい、とインタビューに答えていた兵庫県民もいた。
しかし、その恥ずかしい知事を、またしても選んだ兵庫県民は、もっと恥ずかしいのではないか。私はそう思いますが、皆さんはどう思います?それで思い出すのが、いつだったか、政治資金の不正利用を追及され、記者会見で号泣しながら喚き散らした県会議員がいましたね。野々村竜太郎だったかな。あれには笑ったけど、笑いを通り越して、しまいには見ているこっちまで恥ずかしくなった。それほど恥ずかしいし、今思い出しても恥ずかしい。知らない人はYouTubeで観れますからぜひご覧ください。
そんな世間に恥を晒した記者会見を行った彼もまた、奇しくも兵庫県の県会議員であった。こんな恥ずかしい人がなぜ、県会議員になれたのか?と、不思議だった私はそのときから、こんな恥ずかしい人を県議に当選させてしまった兵庫県民もまた恥ずかしいと思うべきだ、猛省を促したい、と考えていたが、あろうことか、またしても懲りもせずに恥ずかしい人を、今度は県議よりも重要な県知事に再選してしまった兵庫県民は、バカなの?と言われてもしょうがない、と私は思うが、いかがですか。
今回の斎藤知事の勝因は、SNSだとか、立花氏の応援(NHKをなんたら党の党首ね)とか、色々言われていて、どれがホントか私にはわからないが、要因や過程はどうでもいい。結果がすべて、である。結果的に、兵庫県民は恥ずかしい選択を、一度ならず二度もした。これを他県の人がどう思っているか、もう少し真面目に考えていただきたい。斎藤知事がメディアにあまりに叩かれ過ぎて、可哀そうだと思って、一票を投じた人もいるだろうけど、それはダメでしょうよ。
と、まあ、前回に続き今回もまた政治の話を前置きにしてしまったけど、ここから本題。というか、前回の続き。今夏、母の初盆で帰省した帰り(ややこしいな)に、この春就職して大阪に住んでいる娘のところへ行った。という話の2日目である。1日目、つまり実家がある福岡から大阪へ移動したその日は、さらに京都まで足を伸ばし、念願だった「二条城」を見学し、娘が行きたいと言った「安井金毘羅宮」で商売繁盛を祈願し、清水寺の参道で湯豆腐と湯葉のコースを食べ、大文字焼きをはるか遠くに眺めてから大阪へ戻り、娘の部屋に泊めてもらった。というところまで前回ブログで書いた。その続きである。
私はこうみえて、枕が変わると眠れないタチである。神経質というよりは、不眠症の気があって、たとえ高級ホテルに泊まっていかにも高価そうなベッドで横になったとしても、眠りたいのに眠れず朝まで悶々としている、なんてことはよくあるが、その日、娘の部屋では、意外とすんなり眠れた。
その日は福岡-大阪間を移動し、その足で京都まで行って歩き回り、さすがに疲れた、というのもあっただろう。京都でお土産に、と買った地ビールを部屋に戻って飲んでしまい、結構酔った、せいもあったかもしれない。が、しかし、すんなり眠れた一番の要因は、娘がちゃんと私が寝るための敷布団と掛蒲団を一式用意してくれたこと、だったと思う。
自宅では万年床のせんべい布団で寝ている私であるから、ベッドよりも布団、それもあんまり高級過ぎず、かといってペラペラでもない布団がいいのだが、そんな面倒臭い私の身体に合ったようだ。しかもその布団は昼間ベランダに干しておいてくれて、そういう気遣いができるようになったのね、と、ちょっと嬉しかったりもした。
それにしても、1人暮らしをはじめて間もない娘が、自分が寝るベッドと布団の他に、ちゃんと来客用の布団一式を持っていたのは、意外であった。ちなみに私は、離婚後1人暮らしになってかれこれ8年ぐらいになるが、いまだに来客用の布団など持ってない。この間も高校時代の同級生でもある友人が、上京するから泊めてくれ、と言ってきたが、ただでさえ散らかり放題のゴミ部屋に加えて布団さえないとなれば、さすがに泊められず、申し訳ないながらも断った。
私が帰省などで福岡に帰ったときは、実家が福岡市内から遠いこともあって、福岡市内にあるその友人宅に泊めてもらったことが何度もある。今年の初盆で帰省したときも泊めてもらった。そうして自分は泊めてもらっているくせに、自分の部屋に泊めるのは断るなんて、我ながら勝手だなあ、と思うし、情けない、とも思う。もし逆の立場だったら、絶対怒るよねえ。
しかしその友人は、私に断られても、よかよか、他をあたるけん大丈夫たい、とコテコテの博多弁で鷹揚に答え、結局、上野の安いホテルを探して予約し、上京。その日はたまたま私の店「ビリヤニ&カレーダイニング Mr.Spice」のオープンと重なったので、わざわざ店まで来てくれたばかりか、頼みもしないのに客引きまでしてくれた。開店日には間に合わなかったが、お祝いの花も贈ってくれた。ほんと、いいヤツだな。
そんな友人に対し、恩を仇で返す、というと大袈裟だけど、何かとやってもらうばかりで、何もしてやれない自分が情けない。何もできないなら、せめて部屋に泊めるぐらいはしろよ、と自分でも思うが、そんな簡単なことさえできない自分が恥ずかしい。いやね。言い訳してもしょうがないけど、すっかり油断してましたわ。一人暮らしになってこのかた、人を泊めることなんてもうないだろう、と思っていたし、実際その機会もなかったもんで。現在は引っ越しを検討中なので、引っ越ししたら、せめて来客用の布団ぐらいは用意しときます。
そんなことがあったので、なおさら娘が来客用の布団を持っていたことが意外だったわけだが、まあそれは置いておこう。そこから話を広げても、つまりなぜ娘が来客用の布団を持っているか、と考えても、ろくなことにならないから。だって、娘の部屋に泊まりに来るのは、女友達ばかりとは限らないでしょう。今は部屋に男の痕跡はないようだけど、そのうち、この日私が使った布団で寝る男が現れるんだろうなあ。それも想定しての来客用の布団なんだろうなあ。とか、しょうもないことばかり考えている、しょうもない父親が私です。
あっと、いかんいかん。娘の部屋の話ではなかった。その翌日に行ったところの話をするつもりであった。タイトルにもしたので先に言っちゃうけど、この日は「Immersive Museum OSAKA」へ行きました。と言われても、なんことかわからないですよねえ。私もわかりませんでした。そして今、説明しようとしてますが、パンフレットを見てもろくに説明が書いてない。不親切だなあ。ちゃんとわかるように説明文書いとけよ、とブツブツ文句を言いつつ、インターネットでもあまり情報がない中でなんとか拾ってきたのが、「絵画×映像の没入体験型ミュージアム」や「360度の映像と音楽で、名画の中へ飛び込む没入が体験できる」といった文言。どうやら“没入”がキーワードらしいが、それでもよくわからない。
そんなわからないものになぜ行ったのかというと、前日、娘の部屋へ着いて、シャワーを浴びてひと息ついて(盆過ぎの暑い盛りだったからね)、大阪駅で買った551蓬莱の肉まんを一緒に食べながら、どこへ行こうか、話していたとき、娘が「こんなのあるよ」と教えてくれた、というわけである。
内容はよくわからずとも、“ポスト印象派”ということで、私の好きなゴッホやゴーギャン(パンフレットではゴーガンと表記)など絵画に関するイベントというのはわかったので、即賛成。よし、すぐ行こう、としたのだが、よく調べると、どうやら当日券はないようで、事前にローソンで前売り券を買わないといけない。なのでその日は前売り券を買うだけ買って、前回でも書いたがその日は京都へ行って、「二条城」を見学し、「安井金毘羅宮」でお参りし、湯葉と湯豆腐を食べてまた娘の部屋へと帰って来た次第。京都へ行った日は雲行きが怪しかったが(結局降らないでよかったけど)、翌日は朝からカラリと晴れていた。
それにしても、私がここ最近はヒマがあると美術館や博物館へ出かけており、もはや趣味といってもいいぐらい美術・芸術鑑賞にハマっていることは、娘は知らないはずである。なのに、よくこんな絵画関係のイベント情報を仕入れていたなあ。このブログも読んでないと思うが、まあそれはいいか。
かくして、娘の最寄り駅である京阪線「野江」駅から電車に乗り、会場の「堂島リバーフォーラム」へ。電車内で飛び交う大阪弁に耳をそばだてながら、娘もそのうち大阪弁になるのかな?なんて考えていると、娘の職場では大阪弁を使う人はほとんどいないので、大阪弁にはならないよ、と言う。そうか、それはよかった、ような、ちょっと残念、のような。
「堂島リバーフォーラム」までは、娘が連れていってくれたので経路など覚えてないが、意外と近くて開場時間10時少し前に到着。開場前から20人ぐらいの行列ができていて、おお、結構人気のイベントなんだなあ、と期待は高まる。
いざ入場。すぐにテレビ局のスタジオのような広くて何もないガランとして空間に通された。すでに入っている人はほとんどが床にペタンと座っている。中にはクッションにもたれて寝そべっている人もいた。
なるほど、こりゃラクでいいね。普通の美術館のように歩かなくて済むどころか、座ったり寝そべったり、ラクな姿勢で鑑賞できるんだから。早速、私と娘も置いてあったクッションの1つを借りて、ラクな姿勢をとった。ほどなくしてはじまった映像は、たしかに超巨大画面で365度展開。音楽とともに目まぐるしく動き、変化し、流れる絵画に目を奪われる。でもねえ。いいんだけどねえ。素晴らしい体験であるのは認めるが、“没入”するまででは、ないかな。名画の中に飛び込み、その当時の画家たちが触れた世界がそこにあるような、全身を使って鑑賞する新しい形のアート、という触れ込みだけど、座わったり寝そべったりしてちゃ、全身は使えないでしょうよ。ラクでいいんだけどね。
名画の中に飛び込む、といえば、私が思い浮かべるのは、ずいぶん昔だけど、黒澤明監督の「夢」という映画の中で、たしか寺尾聡だったと思うが、主人公がゴッホの絵画の中に入り込んだシーン。絵の名前は忘れたけど、あの特徴的な黄色い草原の中を実写の人物が歩く、その絵画と実写映像の融合が当時としては強烈なインパクトで、今でも鮮明に覚えている。
それと比べると、うーん、いいんだけど、もうちょっとだねえ、とかなんとか、自分は寝そべって鼻クソほじりながら見ているだけのくせに、エラそうに講釈を垂れる私。いや、口には出さず思っているだけだけどね。せっかく娘が連れて来てくれたんだし(チケット代は当然私持ちだが)、デートの雰囲気を壊したくはないから。
でも、今の技術ならできるんじゃないすかねえ、もっとすごいこと。私は行ったことないけど、チームラボ、だっけ?映像の中に入り込むような体験ができるとこも今はあるようだから、絵画の中に入り込むのもできないことはないと思いますが。いや、2次元の絵画を3次元、4次元にするのは、今の技術をもってしても、不可能なのかな?
ということで、まあ満足はしたものの、感動するまでではない、という生半可な気持ちで外へ出ると、よくある似顔絵のコーナーがあった。よくあるやつね、と思ったら、よくはなかった。珍しい、かどうかはわからないが、少なくとも私は初めてのそれは、なんと、ゴッホがあなたの自画像描きます、というもの。もちろんゴッホはもう死んでいないから、AIがゴッホ風のタッチで描くらしい。
これにはゴッホ好きの私としては、興味を惹かれずにはいられない。500円、という値段も高いのか安いのかわからないが、現金持ってなくてもPAYPAYが使えたので払って、描いてもらったのがこちら。え?まだ描きかけじゃないの?と思いますよねえ。私も思いましたけど、これで完成だそうです。まあ500円ならこんなもんか。
その後帰ろうとしたら、同じ建物内で別のイベントをやっていたので、ついでにそこにも、無料だったので入ってみた。しかしこれは、はっきりいって失敗だった。屏風ぐらいの大きさのスクリーンにイルミネーション風の映像が何パターンか延々と流れるだけで、すぐに退屈し、最後まで待たずに退散した。まあタダだったからいいや。
ところが、その帰りがけに渡されたパンフレットによると、他にもいくつか会場があって、スタンプラリーのように幾つか廻ると、景品が当たる、という。後で調べたところ、これは「MUSIC LOVES ART 2024-MICSRAT-」という文化庁が主催するかなり大きなイベントの一環で、大阪市中心部では若手アーテストの作品や、駅の大型ビジョンを使った作品を展示しているそうな。色々頑張っているなあ、大阪。
というわけで、予約した新幹線の発車時刻まで結構時間があったこともあり、そのスタンプラリーに参加。といっても、今は地図を見ながら、ではなく、スマホを見ながら、なんですねえ。しかも、スタンプも紙にペタン、ではなく、会場近くまで行けば勝手にスマホにスタンプポン、である。おかげでいくつかの会場では中に入らずともスタンプを獲得でき、必要なスタンプの数も4コか5コか忘れたけど少なくてすぐに貯まった。その場で抽選すると、B賞、と出た。
なんでも当たるのはオリジナルグッズだそうで、B賞が何かはわからないが、ABCDのBなら当たりじゃない?と期待して景品交換所へ。景品引換所は大阪駅にあったが、どうせ大阪駅から電車に乗るつもりだったので好都合。そこでB賞当選のスマホ画面を見せると、おめでとうございます!と言われたので、よっぽどいいものが当たったのかな、と思いきや、貰ったのはタオルが1枚、だけだった。なーんだ。でもまあいいか。タダだから。
黒地に「MUSIC LOVES ART MICSRAT」の白文字と花柄をあしらったそのタオルの写真は撮るのが面倒臭いので、スマホのB賞当選の画面キャプチャを載せときます。参考までに。何の参考になるかは知らないけど。
その後は電車に乗って新大阪へ行き、駅中の飲食店街で串カツを食べたのだが、高いわりに美味しくなかった、というのは言わなくてもいいか。娘がまだ高校生だった頃、夜行バスでUSJへ行って1日遊び、大阪に泊まった翌日に新世界で食べた串カツは美味かった、という記憶はあるけどね。
その店を出たところで娘とは別れ、1人で改札内へ。それでもまだ時間があったので、土産物屋をウロウロしながら時間を潰していたが、それにも飽きて、ちょっと一杯やるか、と、構内のイートインへ入った。が、注文してから念のため発車時刻を確認すると、ちょっと勘違いしていて結構時間ギリギリなのに気が付き、慌ててビールだけ煽り、つまみはキャンセルして勘定を済ませ、階段を駆け上って新幹線に飛び込んだ。我ながら馬鹿だねえ。
ということで今回はこれにて。ちなみに、言わなくてもお分かりだとは思いますが、文中に出てきた「Immersive Museum OSAKA」も「MUSIC LOVES ART 2024-MICSRAT-」も、とっくに開催終了しているイベントですので、念のため。なんせ今回のお話自体が8月、もう3カ月ほど昔の話ですから。そんな昔の話を今頃になってすることは、当ブログではよくあることなのでどうかご了承いただけると幸いです。ではまた。