侍ジャパン、優勝!

WBC決勝戦、歓喜の優勝から一夜明けた翌日の昼下がり、昨日に続いてWRC関連一色のテレビを見ながらこの原稿を書いている。はい、いつもは介護施設での夜勤中、またはその後、夜勤明けに大森かどこかの昼呑みできる店に寄り、一杯飲りながら書くことが多い当ブログですが、今回は珍しく自宅で書いてます。

というのも、WBCについては準決勝があまりに劇的だったので思わず書いてしまったが、一度書いたから翌日の決勝戦は、間もないことだし、もういいか、とも考えていた。が、決勝戦を観たら、またしても劇的で、ドラマチックで、もしかしたら準決勝をも超えるかもしれないほど素晴らしい試合だったので、これはやっぱり、書かなきゃいかんな、と。

しかし、今日と明日は、夜勤は夜勤でも清掃の方なので、勤務中には書けない。かといって、次の介護の夜勤まで待っていたら、さすがにその頃はもうこの日本中を沸かせた興奮も熱狂も冷めているだろう。なので、書くなら今でしょ、と思い、ここ数年アルバイト生活をはじめてからはすっかり仕事をしなくなった自宅で、重い腰を上げて書いている次第。

と言いつつ、テレビを見ながらのんびりゆっくり書いているので、アップするのは夜、もしかしたら明日になるもしれません。ご了承ください。それにつけても、時事ネタはすぐ書いてすぐアップしないと、もたもたしてたらあっという間に古くなってしまうので、なかなか大変です。なんせ私、遅筆なもんで。

じつはこれまでも、途中まで書きながら、最後まで書き上げる前に古くなったり、タイミングを逃したりして、ボツにした原稿がたくさんある。だから、ほんというと、時事ネタはあんまり取り上げたくないんだけどね。それでも、ワールドカップのときは決勝戦まで書いたのに、それ以上に盛り上がったWBCの決勝戦を書かないのはどうか、と言われそうなので、まあ、書かなしゃあない。え?ぶつぶつ文句言わずに書くならさっさと書けって? そうですね、すいません。

あ、ちょうど今、テレビでは成田空港で帰国した選手たちを迎える人々の熱狂ぶりを伝えている。今日は平日だよね?よくもこんだけ成田空港に集まれるなあ。後で1200人と報道されていたけど、そんなにヒマな人が多いのかな。喜ぶのはいいんだけど、わざわざ成田空港まで行くのは私には気が知れない。それだけ感動したので、選手たちに直接お礼が言いたい、という気持ちはわからなくもないが、行っても話なんかできるはずないでしょ。いや、生で選手たちの姿を見れれば、それでいいのか。ヒマ人はいいね。私はヒマでも行かないけど。

で、決勝戦当日だが、テレビ放送は準決勝と同じく午前中。8時半だったかな?その頃には朝入居者を起こして朝食を食べさせ、食後の薬を飲ませ、バイタルを測る、といった一連の慌ただしい作業をあらかた終えて、ホッと一息ついた状態。もちろん他にも食事の後片づけや洗濯など細々した仕事あり、合間に排泄介助、そして一番時間がかかる記録(食事量やバイタルをiPadに入力し、様子観察などを記帳)などやらなければならないことは多々あるが、この日はそれらを猛スピードで終わらせ、満を持してプレイボールを待った。施設のテレビは大画面だからこういうときはいいよね、自宅で観るより。

もっとも、入居者はほとんど認知症で野球に限らずテレビそのものに興味がない。入居者がテレビを見ないのに職員が見ていいのか、と言われそうだけど、ここではテレビは四六時中点けっぱなしだし、野球に限っていえば、入居者の中に1人だけ認知症ではない、意識がしっかりした人がいて、その人もWBCは興味を持って見ていたので、たった1人でも入居者が見ていれば、一緒に職員が見ても咎められることはない、だろう。

もちろん仕事をほっぽりだして、長時間テレビにかじりつくのは、さすがにまずいと思うが、まあ、こんなときぐらいは、というのもあるし、私の場合、やるべきことはさっさと終わらせてから見てるし、見ながらもCMの間に排泄介助などもやったから、良しとしましょう。そういう意味では、あんまり厳しいことは言われない、いい職場である。

だから序盤に出た村上の本塁打も見ることができた。前日の準決勝で打った逆転サヨナラ弾の勢いそのままの見事な一発。史上最年少三冠王は伊達ではなかった。ちなみに、この本塁打の打球速度は115.1マイル(約185キロ)で、今大会最速、だそうです。本塁打の飛距離はよく聞くが、打球速度ははじめて聞いた。それだけ世界が驚いた一打だった、ということだろう。

そして時刻は10時。退勤の時間となった。が、試合はまだ中盤。村上に続いて岡本もホームランを打って、日本が3対1とリードしたところで、ゲームは落ち着いていた。日本のピッチャーは戸郷から高橋へとスイッチ。この若い2人を含めた日本の救援陣が大変素晴らしく、アメリカの錚々たるメジャー軍団をなで斬り(侍だけに)したと大絶賛、されたのは後で知った。けど、実際試合を観ていると、とくに高橋なんか、あんなあどけない顔して大丈夫か?と心配した。髭面のごついアメリカの選手と比べると、まるで大人と子供である。下手したらあっという間に逆転だぞ、と、冷や冷やしながら観ていたが、10時になったら退勤しなければいけない。

いや、帰れ、と言われたわけではないよ。退勤時間過ぎてもそのままテレビ観ていても、誰も文句は言わないだろう。けど、でかい図体したやつ(私のことです)が、狭いフロアで、仕事もしないでテレビを見ていたら、邪魔になるだけ。それに、そのとき私はすぐ帰らなければならない用事があったので、試合途中ながら後ろ髪を引かれる思いで退勤した。

用事というのは、ライター仕事で飲食店の取材である。まったく、たまにしかない仕事のくせに、よりによってこんな時に、間が悪いよなあ。そういえば先週の日曜日も、その日は花見だったのに、同じ仕事で取材が入ったんだった。ここでも間が悪い。

ただ、このときは幸い電話取材だったので、花見の途中で抜け出して、近くのビルのロビーで電話。酒を飲んでいることを相手に悟られることなく、無事取材終了。事なきを得た。まあ、それでもなんとかなるぐらいの仕事ですよ。

ロビーの写真

しかし、この日は(決勝戦の日ね)、実際に店に足を運んでの取材であった。しかも、合わせてメニュー写真撮影もしなければいけない。写真を撮るからにはカメラが必要だが、あいにく、その前日の出勤時にカメラを持って出るのを忘れてしまった。失敗したなあ。

もしそのときカメラを持っていて、その足で取材先の店に行けるのであれば、時間的には余裕だった(取材は13時半からだった)ので、途中で大森の24時間営業でテレビも見れる居酒屋にでも寄って、ビールでも飲みながら試合の続きを見たかったなあ。しかし、一旦帰宅するならその時間はない。嗚呼、残念無念。

なので、仕方なく、一旦直帰。スマホで試合経過をチェックしながら、バスと電車で移動した。スマホでライブ中継も観ようと思えば観れるんだろうけど、私はそういうアプリは入れてないし、ストリーミング(というのかな?)なんかもアナログ人間の私には無理。こういうときのために前もってスマホでライブ中継を観れる準備をしておくべきだったが、時すでにおすし。後のカーニバル。あ、これはどっかで聞いた人のギャグの盗用です、すいません。私のオリジナルは、後悔先にたたみイワシ。意味はないです。失礼しました。

おっと、つまらんダジャレは置いといて、WBC決勝戦の話に戻る。電車の中で経過チェックしていると、大谷がブルペンに入った、との一報。会場騒然。おお、経過チェックだけでも結構会場の雰囲気が伝わるな。さらに、ピッチャーがダルビッシュに交代。なんと、ダルビッシュから大谷へ、夢のような投手リレーの実現か?とワクワクしていたら、電車を降りて歩いている最中、ダルビッシュが被弾。うーん、さすがに簡単には勝たせてくれないよなあ、と思いつつ帰宅し、すぐさまテレビを点ける。大谷がマウンドに立っていた。

その後の展開はほとんどの人が観ただろうからここでは詳しく述べないけど、まあ、ドラマのようでしたね。野球は筋書きのないドラマ、なんていうけど、ここはきっと野球の神様の演出でしょう。だって、ランナーが出てもきっちりゲッツー、最終打者にトラウトをもってきて、2023WBC大会最後の最後で世紀の大勝負。球史に残る、とはよく言われるけど、そんな表現では足りない。なんていうか、野球というスポーツがある限り、永遠に語り継がれるべき一戦、いや、大会、だろう。

ちなみに、大谷がトラウトを三振にとったスライダーは、急速140キロ、曲がり幅43センチ、だったとか。球速は度々話題になるが、曲がり幅、は初めて聞いた。これがどれだけすごいのか、素人にはわからないけど、まあ、すごいんでしょうね。

そしてトラウト。ESPNかなんかの記事によると、「トラウトのこれまでの6174回の打席で、3回の空振りを記録したのはわずか24回(確率にすると0.39%)。また、それを過去に2回行った唯一の投手は、大谷と同じ日本出身のダルビッシュ有(パドレス)です」だって。大谷もすごいが、トラウトもすごい。ついでにダルビッシュもすごい。みんなすごい。

振り返ってみれば、大谷で始まり、大谷が締めた、大谷のための大会だった。二刀流だからこその快挙、という見方もあるかもしれないが、二刀流は投も打もどちらも一流でなければ成しえない。それを大谷はこの大会で、投打ともに世界一流であることを証明してみせたわけで、卵が先か鶏が先か、ではないが、どちらにしても、大谷の二刀流は二刀ともに超一流。誰も真似できない、人類未知未踏、異次元の活躍である。えっと、ちょっと何言ってるのかわからないな。まだ興奮が続いているのかも。とにかく、この大会での大谷の活躍は、とうてい言葉では表現できないほどすごいものだった。と、言いたかった。うーん、ライターのくせに語彙や表現力が乏しいな、オレ。

テレビ観戦の写真

もちろん大谷だけではない。村上も吉田も岡本も、ダルビッシュ(打たれたけど)も佐々木も今永も、源田の1ミリも、ヌートバーのパフィーマンスも、それぞれが素晴らしかった。名勝負名シーンが各試合各所にあった。何より、あまり出番がなかった人も含め、各人それぞれがそれぞれ自分の役割をきっちりこなし、チームが一丸となった感が良いよねえ。まさに、全員でつかみ取った優勝、と言っていいだろう。素人目にみても。

また、佐々木が死球を当てた相手に贈ったロッテのお菓子、などのサイドストーリーが他のどの大会(他のスポーツも含め)より多く出てきたのも、今大会の特徴といえよう。まあ、こんだけ盛り上がってて、注目されて、国民の関心も高けりゃ、色んな裏話も出てくるわな。あんまり多いのでここでいちいち書かないけど、こうしたサイドストーリーは今後もどんどん出てくるでしょうね、しばらくは。報道陣は今頃必死になって、いい話はないか、心温まるエピソードはないか、根掘り葉掘り取材をしているだろうから。

そんなこんなで全国民が熱狂した一大イベントも終え、これからはWBCロス、大谷ロス、ヌートバーロス、色んなロスが忍び寄る日本ですが、願わくば、せっかくのこの盛り上がりが、景気の上昇につながるといいなあ、と思いますねえ。いや、たかだかスポーツの大会1つが景気に影響を与えることなんか、ない、と言われるかもしれませんが、景気の気は、気分の気、ですからね。これだけ国民ひとり一人の気分が上がれば、なくはない、と私は密かに期待してますけどね。

ということで、経済効果をみてみると、WBC優勝時の日本国内での経済効果は、596億4847万円に達するという(関西大学調べ)。約600億円ですな。2017年の前回大会と比較すると、当時の約343億4588万円から約253億259万円の増加。倍増とまではいかないがそれに迫る勢いで、今後もこの数字はさらに伸びる可能性もある、と私はみている。

その根拠は、と聞かれれば、まあ、今のところは、全国各地で行われている優勝セールの盛況ぶりや、表彰式で選手が着ていたTシャツの販売が好調、ぐらいのものだが、優勝セールは日本のプロ野球と違い全国的なものであること、そして、たとえばヌートバーのおかげでペッパーミルが売れるなど、思いもよらない効果がこれからどんどん出てくる、かもしれないからね。景気上昇、あると思います。

ちなみに、大会本部から発表された観客数は、合計130万6414人で、前回大会から約20%のアップの新記録。視聴率もすごい。ビデオリサーチによると、22日にテレビ朝日系列で放送されたWBC決勝戦のうち、午前8時25分~午後0時8分の平均視聴率(速報値)は、関東地区で世帯視聴率42・4%(個人視聴率24・3%)。瞬間最高視聴率は、大谷翔平投手が最後の打者のトラウト選手から空振り三振を奪い、日本の優勝を決めた午前11時43分で、世帯46・0%(個人26・3%)だった。視聴人数でいえば、今大会の決勝戦は、前回2017年大会の決勝戦から69%もアップした520万人が視聴。大谷がトラウトを三振に仕留めたゲームセットの瞬間は、610万6000人が視聴した、ことになるという。いやはや。

最後に、私個人的な感想を。なぜか球場にいてリポートらしきこともやっていた中居正広、こいつは要らんかった。彼が大の野球好きなのはわかるが、こういう場でチャラチャラしたタレントは目障りでしかない。最近は野球に限らず他のスポーツでも無関係のタレントを応援団などと称して引っ張り出すことがよくあるが、それはそのスポーツに興味ない層も巻き込もう、という狙いだろうが、しかし私に言わせれば、それは逆効果である。即刻止めてもらいたい。

もう1人、杉谷拳士(はわかりますね?)も今回やたらコメンテーターとしてなど引っ張りだこだったが、こいつも要らんな。彼はタレントではなく元野球選手だけど、コーチにも解説者にもなれない(知らんけど)中途半端なやつをメディアはなぜ使う?と不思議だった。が、あの会見でちょっと見方が変わったかな。まあ、本格的な解説は無理でも、賑やかしぐらいならいてもいいんじゃないか、と思った。

記者会見の写真

あの会見とは、優勝後の記者会見ですね。そこで杉谷は、まず「無職の杉谷です」と言って笑いをとり、掴みはOK、と思いきや、大谷に「僕のこと覚えてますか?」と聞くと、大谷は「まあ、なんとなく」。そのつれない返答に会場爆笑。しかし、大谷とこういうやりとりをできる、というだけでも貴重な人材、だと思う。大谷がこれだけ途方もなくBIGな存在になった今となっては。いや、ここは賛同しなくていいです。WBCの余韻が冷めれば、杉谷くんも忘れられるでしょう。でも、今回のこの一件で、北海道のローカルタレントぐらいならやっていけると思いますよ。頑張ってね。

あと、“侍ジャパン”という言葉(キャッチフレーズ?)も良かった。これについては個人的な思い出がある。ずいぶん昔のことでいつだったか覚えていないが、とあるスポーツ心理学の権威、だという先生にインタビューしたとき、当時はたしか“星野ジャパン”が話題だったが、その先生は、星野ジャパンは良くない、と言った。

いや、星野監督がダメ、ということではないよ。個人名をチームの呼称にするのがよくない、ということ。理由は、まあ、説明しなくてもなんとなく想像はつきますね。要するに、個人名を冠することで、士気が下がる場合もある、ということだ。

その先生の言葉が効いたのかどうかはわからないが、当時は星野ジャパンの他にもサッカーなら加茂ジャパン、または岡田ジャパン、バレーなら真鍋ジャパンなどなど、とにかく日本代表チームに監督の名前をつけることが流行っていたが、なでしこジャパンあたりからその風潮はなくなった。

だから今回も、栗山ジャパンではなく、侍ジャパン。これも快挙の一因といえるかも。もっとも、今回のチームはこれだけ全員がまとまっていて、これほど監督への信頼も厚かったなら、もしかしたら、栗山ジャパン、でもよかった、かもしれないけど、まあ、勝負の世界にもしはない。結果がすべて。後からなら何とでも言える。ということで、後から勝手なことをほざきつつ、今回はこれまで。