ＷＢＣ

いや～、すごい試合でしたねえ、ＷＢＣの準決勝対メキシコ戦。この日は介護施設の夜勤が入っていたが、午前中は自宅にいたので、マイアミで行われた試合を生で観ることができたわけだけど、生というのはもちろんテレビの生中継の意。あ、生中継という言葉は今はあんまり使わないか。そうだ、ライブ中継、といえばいいのかな？なんてことはどうでもいいですね。

とにかく、現地マイアミではナイターで行われる試合が、日本で観れるのは午前中、しかもこの日は祝日（春分の日）で、つまり祝日の午前中という、視聴率的にはむしろゴールデンタイムよりいいんじゃね？と思われる時間帯に放送された試合であの逆転サヨナラ。劇的といえばあまりに劇的な勝利を生、もとい、ライブで観た人も多いだろうから、あの瞬間、日本中が大興奮、とか、列島が熱狂、などと大袈裟な表現がその後の情報番組等で飛び交っていたのも、まあ、分からなくもない。

ちょっと前まではサッカーのワールドカップで日本中が盛り上がっていたが、今回のＷＢＣの熱狂ぶりは、ワールドカップのそれを軽々と凌駕している、と感じるのは私だけではないだろう。なにしろ、この日のテレビはどの局もどの番組もＷＢＣ一色で、おいおい、他にも取り上げなきゃいけない大事なニュースはたくさんあるだろう、と突っ込みを入れたくなったほど。もしかしたら一般人よりもメディア関係者のほうが興奮していたのかもしれない。

この国を挙げての熱狂ぶりを、熱しやすく冷めやすい日本人の節操のなさ、と冷ややかに見る人もいると思う。私も若い頃ならそう思っただろう。しかし、今の私は、それが歳をとった、ということだと思うが、老いも若きも、喜べるときは大いに、素直に喜べばいい、と、わりと温かい目で見ている。

野球場の写真

たとえば渋谷でバカ騒ぎしている若者（今回はまだ聞かないけど）だって、人に迷惑さえかけなけりゃあ、いいんじゃないの、と、寛大な心で思っている。どうせ、右を向いても左を向いても、コロナだの値上げだの戦争だの、暗いニュースばかりの世の中である。先行きも不透明で、明るい将来の展望なんぞ描き辛い若者たちが、たまの明るいニュースに舞い上がるのを誰が責められようか。

おっと、ＷＢＣの話をするつもりが、変な方向へ話が逸れた。話を戻すが、今回の日本代表＝侍ジャパン、かねてより史上最強との呼び声高いのは知っていた。あのメンバーなら誰でもそう思う。それにしても、私はその戦いぶりを見ていて、あまりにも出来過ぎではないか、と思っていた。

そもそもキャンプの段階からダルビッシュが若手と積極的にコミュニケーションをとるなどチームにいい雰囲気をもたらし、予選に入ればヌートバーというニューススターが文字通り彗星の如く現れてチームに勢いをつけ、大谷や吉田など主軸も期待通りに実力を発揮。予選グループを唯一全勝で勝ち上がった結果もさることながら、その内容も全試合ほとんど危なげなく、完璧といっても過言でない展開だった。何もかもがうまくいった、ように見えた。

逆に、何もかもがうまくいき過ぎて、アウェイの準決勝や決勝でその反動が出ないか、私は心配だった。期待よりも心配の方が強かった。我ながらネガティブ思考だねえ。ただ１人、蚊帳の外だった村上でさえ、国内最後の試合で１本、タイムリー打ったからね。このタイムリー（2塁打だったかな？）を見て、私は、ここで打たなくてもいいのに、と思った。優勝までの勝負所はまだ先である。それまでは鳴りを潜めておいて、勝負所でドカン！と一発。それが最高のシナリオだろう。なのにこんなところで打っちゃって、大丈夫か？と。

そんな余計な心配が杞憂に終わったのは皆さんご存じの通りだが、それにしても、最後の村上の一打はシビれたねえ。私は、ここで村上は無理だろう、他にいい打者はたくさんいるのだから、代打を出したほうがいい、と思った。同じことを思った解説者もいたらしい。

だが、そうした重圧を見事跳ね返して打った村上は素晴らしい。そして、村上を最後まで信じ切った栗山監督も素晴らしく、その信頼関係が美談のように語られているが、天邪鬼の私でさえも素直に感動している。その前の吉田の同点弾もさすがだし、村上までつないだ打者も、好守備を見せた野手も、好調メキシコ打線を抑えた投手も、１人１人がそれぞれを役割を果たし、チーム一丸となって掴んだ勝利、というのがいいね。

野球を楽しむ子供たちの写真

そしてもう１つ思ったのが、やっぱり日本人はサッカーよりも野球が好き、なんだな、ということ、日本が勝つことで国民全体が一体となるような感覚は、サッカーのワールドカップのときにも感じたが、今回のＷＢＣがそれ以上の一体感を生み出していることは言うまでもない。と思うが、もしかしたらこれには異論があるかもしれない。

というのは、野球とサッカーのどっちが好きかは、年代にもよるので、一概には言えないからだ。年配の人なら野球好きの方が多く、若い人ならサッカーの方が好き、と分かれるのは容易に想像がつく。が、この話をしだすとまた長くなるので止めといて、この原稿もいつもよりは短いけどここで止める。

だって、早いとこブログをアップしないと、明日、いや、今日にはもう決勝戦がはじまるからね。決勝戦が終われば当然書く内容も変わってくるので、その前に急いでアップする（例によって介護施設での夜勤中にこの原稿を書いている）が、もしこの原稿を明日の決勝戦が終わった後に読んだ人には、ごめんなさい。タイムリーな記事を書くのは、タイムリーヒットを打つのと同様、難しいもんです。と、訳のわからない言い訳をしつつ、今回はこれにて。決勝戦が終わった後、また改めてＷＢＣについて書くかどうかは、結果次第。ということで、ヨロシク。