熱中症

熱中症

危険なレベル、だそうである。何が?って、言わなくてもわかると思うけど、ここ連日の猛暑のことね。しかし、それが、生命を維持するのに危険なレベル、なのか、屋外で活動するのが危険なレベル、なのか、そのへんはよくわからない(ニュースでもはっきり言ってない気がする)が、どちらにしても、とにかく暑い!日が続いていますので、皆さん熱中症にお気をつけください。

それにしても、猛暑とか酷暑などといった言葉はこれまで何度も繰り返し使われてきたが、危険なレベル、という表現は今夏が初めてではなかろうか。そう思い、去年の夏はどうだったかなあ、と振り返ってみるに、な~んも覚えてない。覚えていないということは、さほど記憶に残るほどの暑さではなかった、ということかもしれない。そういえば昨夏は、雨や台風が多くてそのぶん暑さはそこまでではなかった、ような記憶がなきにしもあらず、だが、定かではない。人間は忘れる動物であるなあ。いや、私の記憶力が乏しいだけか。

昨夏のことを何にも覚えていないのは、昨年1年間はまるまる、介護と清掃のバイト、たま~にライター仕事、のトリプルワークで年が暮れ、シフトによって若干の違いはあるものの、大きくみればだいたい毎月毎月、判で押したように同じ生活を送っていたからだろう。そしてその生活は現在も続いているわけで、ということは来年になると、また、昨年のことなんか、な~んにも覚えていない、と言ってるんだろうなあ。歳月人を待ったなし。

では、その前の夏はどうだったか、といえば、この年は1月に今の介護施設を一旦辞め、移った2つ目の介護施設を3月で辞め、その後はどうも働く気がしなくてずーっと、今の施設に復帰するまでの7ヶ月間ほど(長いな)、引きこもりのような生活をしていた。清掃のバイトは続けていたけど。だから今よりは忙しくない、はっきりいえば暇だったが、暇なら暇で、やっぱりな~んも覚えていない。もしかしたら記憶力の欠如というより、歳のせいかな?

そのもう1つ前の夏は、この年は今の介護施設で1年まるまる働きつつ、相変わらず清掃のバイトも続けつつ、さらに昼の仕事もあった(ライター仕事だけではなく、とある会社に週3日ほど通勤していた)から、今にして思えば結構忙しい年だった。忙しいから、通勤時間を短縮しようとして、介護施設を移ったら、これが失敗だった、という曰くつきの年である。

エアコンの画像

そしてそのまたもう1つ前の夏、この夏は今でもはっきり覚えている。今夏に勝るとも劣らぬ、殺人的な暑さの夏であった。なにしろ、うっかりエアコンのスイッチを入れるのを忘れて寝てしまった、ただそれだけで、熱中症になったからね。

いや、正確にいうと、熱中症とは診断されていない。目が覚めるとひどい頭痛にめまい、嘔吐に立ちくらみ等々がいっぺんに押し寄せてきて、こりゃいかん、と思い、自分で救急車を呼んで病院に担ぎ込まれたわけだが、そこでは熱中症とは診断されず、メニエール病を疑われた。だからそのまま入院と相成ったわけで、熱中症と診断されていたら、すぐに帰されていただろう。それでも、その引き金になったのが熱中症だと言われたし、自分でも、ああ、これが熱中症というものか、という確信もあったので、まあ、熱中症でよかろう。

その後、入院してから3日間ほどずーっと、多分メニエール病の検査なんだろうけど、ヘッドホンをつけて音が聞こえたらボタンを押せ、とか、画面の動く点を目で追え、とか、よくわからない変な検査を延々とやらされた。その検査を受けるだけででますます具合が悪くなったほどだ。しかしそれでも、診断は一向に下されない。

その時私を担当したのは、いかにも研修医、もしくは、つい最近まで研修中でした、といった感じの若い兄ちゃんで、こやつがなんというか、サーファーのような髪型と黒い顔で、こんなチャラチャラした医者もいるんだなあ、と思ったものだ。

いや、チャラチャラはしてたけど、意外と話し方は普通で、検査以外でも私のベッドまで度々様子を見に来るなど熱心そうではあったから、こやつ呼ばわりはいかんな。けど、やっぱり経験の浅さは否めず、何度検査しても診断を下せない。

そうこうするうち、入院4日目か5日目ぐらいに、それまで留守にしていたらしいお医者さん、こちらは私と同じぐらいの年齢だが経験豊富なベテランのようで、この先生が戻ってきたらすぐさま、それまでの検査がウソのように、あっさり診断が下された。病名は「真珠腫性中耳炎」という。これは真珠のような腫瘍の固まりが耳の奥にできていて、それが三半規管に触れてめまいがする、ということらしい。

この「真珠腫性中耳炎」という病気、私はこのとき初めて聞いたけど、後で、というのはつまり退院してから、だが、周りの人に聞かれる度にこの病気だったと答えていたら、同じ病気の人、意外といましたね。ありふれた、とまでは言えないが、少なくとも奇病ではない。だったら、なぜあんな3日も4日も検査して判明しなかったのかなあ。やっぱりあの若い兄ちゃん(の医者ね)では無理だった、ということだろう。

ともかく、病名ははっきりした。治療は、手術してその腫瘍を摘出すればいい。ということで、すぐさま手術、とはならなかった。なんでもその先生(ベテランの医者の方ね)の都合で、手術は11月にしかできない、というではないか(入院したのは8月)。どうやらその先生、腕がいいのかどうかは知らないが、忙しいのはたしかのようである。

仕方なく、1週間入院した後、一旦退院。11月に再入院して手術を受けたわけだが、その一旦退院のとき、病院から1歩足を踏み出した(そのときはもう歩けるようになっていた)瞬間に襲いかかってきた暑さを、今でもはっきり覚えている。なんだこの暑さは、と、呆然としましたね。病院の中が涼しかったから、余計にそう感じたのだろうけど、とにかく、猛暑とか酷暑とかを超えて、灼熱、とでもいうべき暑さであった。

このときは、迎えに来てくれる人もいなかったので、1人でとぼとぼ、荷物(入院用の着替えなどは別れた妻と娘に頼んで持ってきてもらった)を抱え、貧乏人だから電車で帰ろう、と思っていたが、貧乏人でもさすがにこの暑さには耐えられず、このときばかりは貧乏人のくせにタクシーを使いましたね。

まあ、タクシー代は家から近い病院だったのでさほど高くもなく、そんな大げさに貧乏を強調する必要もないのだが、貧乏人のつらさを実感したのは、やはり医療費の支払いであった。はっきりとは覚えていないが(なにしろ記憶力が乏しいもので)、たしか2回の入院と手術代等でしめて45万円ほどだった、と思う。そのうち20万円ぐらいは、高額医療費の控除(でいいのかな?)で返ってきた(これには助かった)が、残りの約25万円は、貧乏人にとっては身を切られるように痛い。

さらに、入院中は働けないから、バイト代が減る。それが支出に勝るとも劣らない辛さ、悔しさ、フリーターの悲哀、であった。休んでも給料が減らない正社員が羨ましい、と、このときばかりは心底そう思った。

といった入院の夏を、今年の夏の猛暑で思い出して、つらつらと述べてきたわけだけど、このときからもう4年も過ぎたんですねえ、いやはや。荒淫、もとい、光陰矢の如し(前にもこのフレーズ使ったかな?)。以来、熱中症には重々注意をしている。と言いたいところだが、そこはズボラで記憶力も乏しい私、喉元すぎれば熱さ忘れる、という言葉もあるが、夏が過ぎれば暑さ忘れ、それ以前とはなんら変わらぬ日々を過ごして現在に至る。

いや、1つだけ、熱中症対策でしていることがあるな。エアコンだ。あれ以来、暑いときは我慢しないですぐエアコンをつける。電気代はもう気にしない。貧乏人だから気になるけど、気にしない。いくら電気代がかかっても、熱中症になるよりはまし。だと思って。とはいえ、今夏の電気代の値上がりは、恐怖だけどね。今は家にいるときはほぼエアコンつけっぱなしだから、電気代がいくらになるのか、体は暑いけど内心は冷や冷やである。

あと、もう1つ、これは熱中症対策といえるかどうかわからないが、介護施設への通勤は、半ズボンと素足にサンダル、にしている。勤務中も制服はないから半ズボン。靴下は持参して施設内に入ったら履くが、夜間のさほど忙しくない時間帯は脱いでいることが多い。当然、帰りも半ズボンと素足にサンダル。これはラクでいいっすよ。

半ズボンとサンダルの画像

もしかしたら、半ズボンで勤務なんてけしからん、という人がいるかもしれないが、今のところは何も言われないのでそうしている。これも介護施設で働く利点の1つ、だと勝手に思って。ほんとは清掃の仕事でも半ズボンでよければいいのだが、こちらは制服なので無理。正確にいうと、制服は上のポロシャツだけで、ズボンも一応支給はされるが、自前のズボンでも可。だけど、やっぱり、自前でも作業服が必須で、半ズボンは論外である。そりゃそうだ。半ズボンの清掃人なんて見たことないからね。

だったら、通勤や退勤のときだけ半ズボンに着替えればいい、という意見もあるが、それは面倒だし、着替える場所もない(着替えるとしたらトイレで着替えるしかない)ので、今のところ清掃のバイトに行くときの服装は以前と変わらず作業服(つまり長ズボン)である。まあしょうがない。それでも、介護施設への通勤だけでも、半ズボンでいけるのは、大助かりだ。このおかげで今夏の暑さは乗り切れそう、と、そんな気さえしている。皆さんも、できるようなら半ズボンにサンダル、いかがですか。思った以上にラクですよ~。

ということで、今回はこのへんで。相変わらず起承転結もなんもなく、ダラダラと締まりのない終わり方で失礼致します。あ、最後に、とってつけたようですがもう一度、暑い日が続いておりますので、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。ではまた。