コロナその1

新型コロナ検査キットの画像

前回の更新からしばらく間が空いてしまいました。久しぶりの更新となります。いつもこのブログを楽しみにして下さっている皆さん(は少ないと思いますが)におかれましては、ご迷惑とご心配をおかけ致しましたこと、心よりお詫び申し上げます。

間が空いた理由は、体調不良とコロナです。抗原検査キット(という名称で合ってます?)で陽性反応が出てしまいました(写真参照。線が2本出たら陽性)。いや~、自分ではまったく、コロナに罹るなんて、想像もしてなかったんすけどねえ。

ただ、その前からやけに体調が悪くて、そんなに体調悪いなら検査してみろ、と言われてしぶしぶ検査したら、陽性だった、という顛末はこれからおいおい述べていくとして、体調が悪かったからコロナに罹ったのか、コロナに罹ったから体調が悪くなったのか、それはわからない。わからないけど、自分では、体調不良というよりは、たまたま疲れが溜まっていたところにコロナの直撃を受けた、みたいな、そんな感覚がありますねえ。疲れて免疫力が下がっていたので、コロナの感染を防げなかったのではないか、と。

以下、体調が悪くなったときから振り返り、以降の経過を順次思い出しながら辿っていきたい。どれぐらいの文章量になるのかは書いてみないとわからないが、なにしろ2~3週間もの長期間だからねえ、結果的に。なのでもしかしたらかつてない一大長編、というと大袈裟だが、これまでにないほど長くなるのは間違いなそうなので、何回かに分けて書いていこうと思います。1回ごとの文章量があまり長くなり過ぎないよう気をつけますので、これまで通りお付き合い頂けたら幸いです。

 

 

異変を感じたのは、介護施設での勤務中だった。何の前触れもなく、いきなり突然、あ、オレ体調悪りぃな、と感じた。時刻は午後の6時から7時ぐらい。出勤して利用者と一緒に利用者と同じ夕食を食べ終え(このときは何の異常も感じず普通に食べた)、利用者各々に夕食後の薬を飲ませ、全員のバイタル(体温や血圧など)を計り、その数値を記録しているとき、だったように記憶している。

ただ、このときはまだ、風邪のひきはじめかな?ぐらいにしか思わなかった。少し鼻水も出ていたし。けど熱はない。介護施設では出勤時に体温を計らなければならないが、この日何度だったか具体的な数値は覚えていないものの、平熱だったのは確認したので間違いない。ただし、当施設の体温測定器(おでこをモニターにかざすタイプね)が正確であれば、の話だが。

というのは、この体温測定器、あんまり信用できないんだよね。外気温に左右されやすくて、外が暑すぎたり寒すぎたりすると、すぐ「表面温度が異常です」とうるさく鳴る。でも、それを言い出したら話がややこしくなるので、ここではきっぱり、熱はなかった、ということで話を進めていく。ちなみに、この日以降も出勤する度に熱は測っているが、37度を超えたのは一回もない。

で、熱もないことだし、この時点では、コロナかもしれない、なんて考えはさらさらなかった。この日出勤してから、「2階でコロナが出た」(この日私の担当は3階だった)と聞いたときも、へえ、そりゃ大変ですねえ、と口では言ったものの、内心はまるで他人事であった。なぜか、自分は大丈夫だろう、と思っていた。今にして思えば、馬鹿だよねえ。

ところが、記録を終えて、利用者に歯磨きをさせたり(自分でできる人と介助が必要な人がいる)、義歯の人は義歯を外してうがいをさせたり(外した義歯は薬に漬けておき、翌朝洗ってはめる)、着替える人はパジャマに着替えさせたり、ここではいわゆる「整容」と呼ばれる作業の一連を行っているうち、どんどん体の具合が悪くなってきた。

悪寒がするときの画像

このときの状態を表現するのは難しい。たとえば、頭が痛い、とか、咳が出る、などのはっきりした症状ではなく、なんというか、体全体がどんよりと重くて、ダルくて、ちょっと動いただけでハアハアと息が荒くなり、大量に汗をかく。いや、汗をかくのはいつものことだけど、このときはちょっと違った。いつもなら汗をかくまでもないちょっとした動作でも汗が出るし、動いて体が温かくなって出る汗というより、どちらかといえば脂汗のような、気持ち悪い汗がダラダラと流れ落ちる。

それでも、利用者は待ってくれない。容赦もしてくれない。「整容」が終われば、次は「就寝」。利用者全員に眠前薬を飲ませた後、ひとり一人を各自の居室へ連れてゆき、ベッドに寝かしつける。もちろんただ寝かせるだけではない。寝る前だからオムツ替えも必ずしなければいけない。これが大変で、骨が折れる。

車椅子の人は抱え上げてベッドに寝かせなければいけないが、その車椅子の人が3階フロアにはなんと5人もいる。その中には、女性の力では抱え上げるのは無理だろう、という大柄な人や太った人もいて、まさしく重労働である。

いや、重労働は今にはじまったことではないのでしょうがないにしても、過酷だなあ、と思ったのは、その車椅子の人は、1人を除いて全員がほぼ認知症で、介護する側への配慮や容赦など、一切ない、からね。介護する人がどんなに具合が悪そうでも、ハアハアと苦しそうにしていても、尋常でない汗をかいてても、まったく気にすることなく、いつものごとく平然と、介護されるのを待っている。それが認知症というものであることよのう(詠嘆してるつもり)、いやはや。

ちなみに車椅子だけど認知症ではない唯一の人は、例の氷川きよしファンの婆ちゃんなんだけど、この人はこの人で大変手がかかる。下手すると認知症の人以上に手がかかる。というのは、認知症ではないから自分でトイレに行くのだが、車椅子から便器へ移るのがしんどくなってきている(足が悪くて立てないからね)せいか、やたら失敗(粗相)が多い。

あ、一応説明しておくと、こうした施設の場合、オムツの中に漏らすのはセーフ(記録には尿失と記すが、失敗ではない)。オムツから尿が漏れてズボンや車椅子、寝ているときならシーツ(前もってラバーシーツを敷くことが多い)まで濡らしたら失敗(記録には尿失多量と記す)。つまりこの婆ちゃん、尿失に留まらず尿失多量がしばしばで、その度に着替えなどで手がかかる。なおかつ、夜間のおねしょの量が尋常ではない。

この婆ちゃんのおねしょの量が多いのはわかっているので、寝る前にオムツを夜用のテープ式(わかる人にはわかりますね)に代えて、中に大パットと小パットをあてがう。つまり3段構えである。が、それでも尿漏れしてラバーシーツまで濡らすこと度々。ええい、コノヤロウ、とばかりに小パットを2枚重ねにしてもダメ、大パットを2枚重ねにしてやっと、と思いきや、それでもダメなときもあるからね。いい加減腹が立ちますぜ。

毎食のお茶や朝(9時頃)と午後(おやつのとき)のコーヒーや紅茶など、利用者に摂らせる水分は全員ほぼ同じ(出しても飲まない人もいるいけど)はずなのに、なぜこの人だけ異常に尿量が多いのか? 不思議に思って観察していると、どうやら整容(義歯なので外してうがいをする)のときや、もしかしたらトイレでも、職員の目を盗んで水道の水を飲んでいるらしい。

飲み水の画像

まあ、それは悪いことではない。というか、むしろ良いことなんだけどね。認知症予防には水分が重要、というのは定説であり、この婆ちゃんは知ってか知らずかそれを実践していることになる。御年94歳。一方、同フロアの認知症の人の中でも重度の2人は、出されたお茶やコーヒーをまったく飲まない。職員がコップを口に持っていって無理やり飲ませると、1人は少し飲むが、もう1人はそれでも頑なに飲まず、挙句の果てには吐き出してしまう。テーブルの上に、ペッ、と。ひどいもんでしょ。この2人はともにまだ80代。認知症は年齢ではない、のかもしれない。

氷川きよしファンの婆ちゃんの話に戻る。水をたくさん飲むおかげで認知症になってないのは大変素晴らしいことであるが、そのぶん尿量がすごくて粗相も多くて、介護する側は大変なこの婆ちゃん、認知症ではないので、この日、私の体調が悪いのには、さすがに気が付いてはくれた。なにしろ私ときたら、息はハアハアゼイゼイ、汗はダラダラで、誰が見ても具合が悪いのは一目瞭然だったからねえ。

気が付いてはくれたが、だからどうということはない。手伝ってくれるわけでもなく(何もできないから仕方ないが)、少しでも私の負担が軽くなるよう協力してくれるわけでもない。ただ、「お兄ちゃん、具合悪いの?」と、聞くだけ。まあ、気遣ってくれるだけ他の認知症の人よりましか、と思いきや、認知症でなくても若干ボケてはいるのか、何かしてあげる度、「お兄ちゃん、具合悪いの?」と、同じことを何度も何度も聞いてくる。その都度イライラが募り、しまいにはカッ、ときて「さっきからそう言ってるじゃん!」と、思わず声を荒げそうになった。実際には言わなかったけどね。

そんなこんなで、死にそうになりながらもなんとか利用者に「整容」や「就寝」をさせていく私。19時までだったら遅番の人がいて手伝ってくれたり(人にもよるが。この日は幸いフロアリーダーがいて手伝ってくれた)もするが、19時になると帰ってしまい、以降は夜勤者(私のことね)1人である。いや、辛かった。マジで。

あんまり辛いので、1人寝せては少し休み、また1人寝せては休み、と、いつもより数倍の時間をかけて、ようやく全員を就寝させた。それから明日の配薬を用意(朝昼晩の食後薬や眠前薬など)したり、朝ご飯の仕込み(米を研いで炊飯器に入れタイマーをセットする)といった細々した仕事を素早く終わらせ、その後はずっと横になっていた。仮眠室なんかないので、フロアに置いてある、やけに硬くて寝辛いソファに倒れ込んで。

不幸中の幸いだったのは、いつも夜中に何度も起きてきて手を煩わせる婆さんが、この日は珍しく、一度も起きてこなかったこと。おかげで結構長い時間横になれた。眠れはしないけど。ほんとは、こういう日は絶好の仕事(このブログを書いたり、ライター業の原稿を書いたり)日和なんだけど、当然この日は原稿を書く気力などない(原稿書くのも結構気力が要るんです)。ただひたすら横になり、じっとしているのみであった。

そして翌朝、と話は続くのだが、そろそろ文章量長くなったので、ここで一旦終了。続きは次回で。うーん、このペースでいくと、一体いつまで続くのかわからない長編シリーズのなりそうな予感がプンプン。だけど今はそれは考えないようにして、とりあえず次回は間を空けずにアップできるようガンバリマス。では、また。