前回、じゃなくて前々回だったかな?私にしては珍しいことに、東京国立博物館なんぞへ出かけて、『やまと絵 受け継がれる王朝の美』と題する特別展を鑑賞するという、これぞ“芸術の秋”とでも言うべき高尚な秋の1日を過ごした。というお話をしたと思うが、じつはその次の週もまた行きました。東京国立博物館。
というのは、東京国立博物館には建物がいくつかあって、前回観た『やまと絵 受け遂がれる王朝の美』はその中の「平成館」という別館で開催中(今もまだやってます)だったが、「本館」では『京都・南山城の仏像』が開催されており(こちらはすでに終了)、その他『表慶館』や『東洋館』でもそれぞれ異なる展示会が開催されているという充実ぶり。全部見て回るにはとても1日では足りない、内容盛りだくさんの東京国立博物館である。
ちなみに東京国立博物館の創立は明治5年。日本で最も長い歴史を持つ博物館で、「本館」(建物自体は二代目で昭和13年開館)と、明治の洋風建築の代表作とされる「表慶館」、さらに、「黒門」(旧因州池田屋敷表門)や「校倉」(旧十輪院宝蔵)などが重要文化財に指定されている。
その他にも、美術館建築の名手・谷口吉生(「東洋館」を設計した谷口吉郎の息子)の設計により、2001年に日本建築学会賞を受賞した「法隆寺法物館」や、日本近代洋画の父の魂が宿る「黒田記念館」などがあり、これらの建物を巡るコースもあるという。いつか参加したいねえ。
で、2回目はひょんなことから「本館」で開催されていた『京都・南山城の仏像』展を観ることになったわけだが、これもよかったなあ。こちらは浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成を記念して開催された展示会で、京都府の南山城地方に伝わる国宝、重要文化財をはじめ数々の仏像が集結。その歴史や文化の奥深さを辿る大変貴重な機会となった。
というのは後で知ったことで、当日はどれがその浄瑠璃寺九体阿弥陀なのかもわからなかっけどね。そもそも、「南山城」という地域があることさえ知らず、最初はそういう名前のお城があるんだろう、と思っていたぐらい。そんなトーシロでも、実際に観ればやっぱり、おおっ、すげーな、と感心したり、こういうものを造った人間の叡智と執念に感銘を受けたりするのは、『やまと絵』と同様、それが“芸術”の力というものでしょう。いや~、たまにはこういうのを観る時間も必要だと思いますよ。
その後は「東洋館」へも行って、前回目をつけていた、『アジアのパーティ』と称する展示も少しだけ観た。こちらはインドの仏像が主だったが、日本の仏像とは明らかに顔が違っていて、なぜかインドの方がかなりのイケメンなのが面白かった。もしかしたら西欧人よりもインド人の方がハンサムなのかな?
かくして、図らずも2週続けて「芸術の秋」を堪能した後は、もちろん上野、ではなく、なぜか鶯谷で飲み。東京国立博物館は上野公園内にあるが、位置的にはじつは鶯谷の方が近い、という理由もあるにはあるが、それよりも何よりも、私が上野よりは鶯谷の方が詳しく、お勧めの店や行きたい店がたくさんあるから。というわけで、今回は「鶯谷飲み」の回と称して、鶯谷駅周辺の店をいくつか紹介しよう、と思っていたけど、急遽、予定変更。別の話をします。
何の話かというと、「歯痛」です。いや、いつからか急に歯が痛み出してねえ。原稿も手につかないほど。なので、急遽、というわりにはずいぶん時間が経っちゃったけど、その間は歯が痛くてブログの記事も書けなくて、今頃になってようやく、完治はしてないけど、原稿が書けるぐらいには痛みは治まった、と思ってください。はい、完全な言い訳ですが。
思い返せば、前兆はあった。あるとき、歯を磨いた後にうがいをすると、冷たさにひえっ!と飛び上がるほど歯に染みた。その時はちょうど、長く続いた残暑がいくぶん和らいできた頃だったので、そうか、水道水も冷たく感じる時期か、ぐらいにしか思わなかった(バカだねえ)が、その後何度も、うがいをする度に歯が染みる。やがて、冷たいお茶を飲んでも、アイスクリームを食べても、歯が染みるようになり、ようやく、こりゃいかん、と思い始めた。
ここで皆さんに質問です。歯が染みるときに皆さんはどう対処しますか?①何もしない。②歯医者に行く。③薬局で薬を買う。④ガシガシ歯を磨く。さて、正解は?
最も私らしいのは①。たいがいのことなら何もしないで治まるのを待つ。のが正解と思いきや、今回ばかりは×。何もしないでいるとますますヒドくなっていくのがわかったので、何かしら対処する必要に迫られた私。だが、歯医者だろうが病院にはできる限り行きたくない(医者嫌いなもので)。薬もなるべく飲みたくない(自然治癒力を信じている)。というわけで、正解は④。バカだとお思いでしょうが、歯ブラシで神経を刺激すれば、もしかしたら奇跡的に治るかも、と思った。
いや、じつはコレ、そんなにバカにしたもんじゃなくて、私は実際、過去これで歯に染みるのが治った経験がある。なぜかは説明できないが、なぜかそのときは治った。ずいぶん昔の話であるが。
なので、歯を磨く時間をそれまでより長くして、ガシガシと磨いた。私はバイト生活で汗をかくことが増えた頃から、シャワーで済ませず、必ず湯舟に湯を溜めて浸かるようにしているが、湯船に浸かっている間もずっと、歯を磨いていた。歯茎に歯ブラシの毛先を押し当て、いわゆる歯周ポケットの中までガシガシとやった。
それがいけなかったのだろう。そのうち、歯がジンジンと痛み出した。冷たいものを食べなくても、何もしなくても、歯が痛い。いかん、どうやら歯にバイ菌が入ったようだ。その時点で歯医者に行けばよかった。行くのが普通だ。が、この期に及んでも医者嫌いの私、まずは薬で治そう、と思い、近所のいつも行くドラッグストアに行った。今回は虫歯ではないから、歯医者に行っても治療のしようがないだろう、と勝手な理屈をこねて。
ドラックストアに行くと、「歯痛」そのものに効くとうのは、「今治水」ぐらいしかなかったが、よくよく見ると、多種ある「頭痛薬」の効能に「歯痛」も入っている。ほぼすべての「頭痛薬」が「歯痛」にも効くらしい。「頭痛薬」といえば、「バファリン」だ。私は頭痛持ちでもあるので、薬は嫌い、といいながら過去何度か「頭痛薬」を買ったことがあるが、いつも買うのは「バファリン」である。これが一番安い、という経験値がある。
なのでそのときも「バファリン」を買おうと思ったが、ふと見ると、「バファリン」よりも安い頭痛薬があった。恐らく、ジェネリック、というやつだろう。成分をみると、イブプロフェイン配合、と書いてある。イブプロフェインについては、テレビCMかなんかで聞いたことがあるなあ、ぐらいのものだったが、ここで貧乏性という悪いクセが出て、ついその安い「頭痛薬」を買ってしまった。
そして、もう言わなくてもわかると思うが、これがまったく効きゃしねえ。まさに安物買いに銭失いである。仕方がないのでまたドラッグストアへ行き、やっぱり「バファリン」にするか、と思ってふと見ると、今度は「歯肉炎」という文字が目に飛び込んできた。そうだ、今の「歯痛」の原因こそ「歯肉炎」だ。と思い、その歯肉炎に効くという薬を買った。安くはなかったけど、もう安物買いの銭失いはしたくなかったので。
ただし、その薬はよく見ると漢方薬であった。そうか、漢方薬なら即効性はないだろう。と思い、一緒に「ノーシン」という薬も買った。こちらも聞いたことがあるなあ、ぐらいの認識しかなかったが、漢方薬だけだと心配だし、すぐ効くやつがほしい、と思って。で、家に帰って、その漢方薬と「ノーシン」を飲み続けたわけだが、もう言わなくてもおわかりですね。これもまったく効きゃしねえ。漢方薬はしばらく飲み続けないと効果は出ない、と思って我慢して飲み続けたものの、効く気配も皆無。そうしている間も歯はジンジン、ときにはズキズキ痛む。こりゃたまらん。
そんな折、たまたま一緒に飲む機会があった(歯が痛くても酒は飲む)知人から、歯が痛いならこれを飲みなさい、と、薬をもらった。薬の名は「ロキソニン」という。「ロキソニン」なら聞いたことがある。介護施設でたまに使うから。ただし、介護施設では「ロキソニン」といえば湿布のようなテープを指す場合が多く、「ロキソニン」という飲み薬があるのは知らなかった。が、そんなことはどうでもいい。とにかく、歯の痛みが治まればそれでいい。と、藁にも縋る思いでその「ロキソニン」を飲んだ。酒を飲んでる最中にその場で飲んだ。
これがなんと、素晴らしく効いた。即効であった。飲めばほどなく、痛みを忘れて、いつものように気持ちよく酒が飲めた。これには助かったなあ。感謝感謝。ただ、家に帰ればまた痛み出した。どうやら「ロキソニン」が切れたらしい。幸い、5~6錠ぐらい多めにもらっていたので、効き目が切れたらまた飲んで、を繰り返して2~3日は過ごせたが、「ロキソニン」が無くなってしまえば、元の木阿弥。また歯痛の日々が繰り返された。
困ったことに、「ロキソニン」って、いつものドラッグストアにも薬局にも売ってないんだよねえ。聞けば、薬剤師がいる店じゃないと置いてない、というが、近所で薬剤師がいる店なんて知らないし。かといって、「歯肉炎」に効くという漢方薬も、「ノーシン」も、「ロキソニン」が切れた後にまた飲んでいるが、相変わらず全然効きゃし。最初に買ったジェネリックに至っては、飲めばかえって歯痛がひどくなるような気さえするから、腹が立つ。
しょうがないので、再々度ドラッグストアへ行き、結局「バファリン」を買って飲んでいる。「バファリン」の効き目はといえば、「ロキソニン」ほどではないが、飲めば結構痛みは治まる。やっぱり「バファリン」である。さすが、「バファリン」と言ってもいい。最初から「バファリン」にしときゃよかったのに、アホだねえ、オレ。
というわけで、今回は急遽、予定を変更して、「歯痛」という私事の話で失礼しました。私事の話はいつものことだけど。次回は多分、「鶯谷飲み」の話になると思いますので乞うご期待。ではまた。