前回ブログで、引っ越ししました、とお知らせしてからはや1カ月、じゃなくて、恐ろしいことにもう2カ月が過ぎた。恐ろしい、というのは、なんと、2カ月経っても部屋の中はほぼ引っ越ししたときのまんま。片付けなんか1ミリも進んでいないから。まあ、私のズボラさをよくご存じの方であれば、わざわざ言わずともお察し済みだとは思いますが。
それにしても、そんな状態でよく生活できるな、と、思いますよねえ。私もそう思います。なにしろ、とりあえず後先考えず運び込んだ荷物や段ボールの山がほぼそのままだから、足の踏み場がないどころか、部屋の中をちょっと移動するにも荷物に塞がれ、足をよいしょ、と上げて荷物を跨がないと移動できない。しかもその度にどっかの荷物が崩れて落ちたり、足をぶつけてアイタタタ。もはやサバイバル状態の毎日である。
それでもまあ、かろうじて寝る場所はソファがあるし、洗濯機はベランダだから問題なし。玄関入ってすぐ横にあるユニットバスとトイレの扉が開けられるだけのスペースさえ荷物をよけて確保すれば、あとはなんとかなるもんですな。キッチンと冷蔵庫は依然、荷物に塞がれて使えないけど、自炊なんかしないし、冷蔵庫だって、じつは、ないならないで意外に困らない、というのはこの生活になってはじめてわかったことだけど。
それから、テレビ。これはもう、引っ越しする以前からあんまり見なくなっていたので、なくても全然平気。今はアンテナにつないでさえいない。代わりにパソコンが見れれば問題なし。嬉しいことに新居はWi-Fiがフリーなので、それまで使っていたモバイルルーターも必要なくなり、早速解約した。ちょっとお金が浮くね。
要するに、人は寝るスペースがあって、トイレとシャワーと洗濯機さえ使えれば、それだけで普通に生きていける、ということだ。加えてパソコンも使えれば、もうそれで文句なし。冷蔵庫もテレビも電子レンジもキッチンも、あればあったでいいんだろうけど、なくても十分生活できるじゃん、というのが私の新居でのここ2カ月の感想である。
それはそうと、前回のマンションとアパートとの違いを実感した、という話の続き、というか、詳細である。それ以前は、ボロくて狭いながらも一応はマンション暮らしであった私が、アパートに引っ越してきてまず思ったのは、音が筒抜けじゃん、ということ。
前回でも述べたが、新居のアパートは1階部分がすべて駐車場で、もちろんエレベータはなく、その駐車場のなぜか真ん中にある非常階段のような簡素な階段を昇った2階が私の部屋だが、窓を開けると狭い道路越しに小さな公園を見下ろせる。
その公園は小さいながらも遊具やトイレやベンチなどあって、赤ちゃんを連れたお母さんなどよく来るし、放課後の時間は元気な小学生たちが遊んでいる。その声がまる聞こえなのだ。放課後の夕方なら私はあんまり家にいないからいいが、休日ともなると、午前中から遊ぶ子供もいて、夜勤の多い私はたいてい午前中は寝ているが、そんなときに子供たちのキャッキャキャッキャが耳に障れば、神経質な人なら眠れないだろうなあ。私は平気だけど。神経質じゃなくてよかった。
子供たちの声だけではない。隣の建物に住んでいる人の生活音も聞こえるし、どうかすると、窓下の道路を電話しながら歩いている人の会話まで聞こえてくる。マンションに住んでいた頃は、2階と3階の違いはあるにせよ、外の音が聞こえるなんてことはなかった。唯一、隣の建物に印刷工場が入っていて、そこから携帯電話の着信音がしょっちゅう聞こえてきた時期もあったが、それもずいぶん前にその印刷工場が潰れたか移転したかでなくなった。いま考えると、古くても鉄筋コンクリート造のマンションは防音がしっかりしていた。それに比べると、アパートはなんて防音に関しては脆弱なのか。
引っ越しして2、3週間ぐらい経った頃だったろうか。外出しようと部屋を出ると、隣に住んでいるおばちゃんと出くわした。「今度隣に入った人?」と聞かれたので、「はい。挨拶もせずにすいません」と挨拶した。変な言い方だけど、引っ越しの挨拶をしてなかったという意味ね。すると、「あら、あなた、静かで助かるわ~」と返された。よっぽど前の住人がうるさかったんだろうねえ。
音が筒抜け、ということは、壁が薄い、ということで、寒い日は部屋の中も寒い。今年は春が遅いのか、4月に入っても寒い日が多かったし、雨の日も結構あって、店のデリバリーをやっている私にとっては、これまでの人生で一番といっていいほど、寒い寒い春であった。というか、この原稿はゴールデンウィークの最中に書いているが、今もまだ寒い。私の春はまだ遠い。
そうして寒い思いをして帰宅して、部屋の中まで寒いとなるとたまらんから、引っ越ししてから1カ月、いや2カ月ぐらいまで、ずっとエアコンで暖房をつけていた。前のマンションでは、エアコンはほぼ夏の冷房のみ。冬場はよほど寒くない限り、厚着すればなんなくしのげた。気密性もマンションとアパートではずいぶん違うらしい。
冬がこうまで寒ければ、逆に夏は、さぞかし暑いんだろうねえ。もう7年か8年ほど前のことだが、大変暑い暑い夏のとある日、夜勤明けで寝ていた私は、目覚めるとなぜかものすごく体がだるく、めまいもして起き上がれなかった。吐き気もひどく、寝る前に食べたものを吐いて、また寝た。
その後もずーっと具合の悪さは続き、その夜も清掃のバイトがあったが、電話して急遽シフト変更をお願いした。バイトをドタキャンしたのは後にも先にもこのときだけだ。そして丸1日寝ていたが、治らないどころか、増々ひどくなってきたので、これは辛抱タマらんと、朝になって意を決し、自分で救急車を呼んだ。ということがあった。
そして病院に担ぎ込まれ、そのまま入院。病名は、なかなか判明しなかったが、2日か3日後にやっと、「真珠腫性中耳炎」と診断された。中耳炎ということは耳の病気で、暑さとは無関係のようだが、私は、これは熱中症により誘発されたもの、と思っている。“熱中症併発型中耳炎”なんてものがあるのかどうか知らないが、私は断固、熱中症、つまり暑さにやられたものだと決めつけている。
以来、私は夏場、ちょっとでも暑く感じたら、躊躇なく冷房をつけることにしている。電気代がもったいない、とは思うけど、背に腹は代えられない。へたに我慢して、体を壊して仕事を休んだりしたら、その方がもったいない。なので、冬の暖房は我慢しても、夏の冷房は我慢しない。ところが新居のアパートでは、冬の暖房さえ我慢できなかった。ということは、夏の冷房はそれこそガンガンつけっぱなし、になりそうで、いまから夏が思いやられる。どうせ今年の夏も暑いんだろうな。電気代がどれだけかかることやら。やれやれ。
もう1つ、新居のアパートで困った、とまではいわないが、不満なのは、風呂に追い炊きの機能がないこと。私は、風呂には絶対浸かりたい派だから。あと、風呂とトイレは別々だが、形式的には恐らくユニットバスと称されるであろう風呂場に、窓がない。したがって、換気扇を常に回さないといけない。そうしないとカビが生えるからね。その換気扇の電気代がどれほどかはわからないが、少なくともまた金がかかるし、換気扇の音も気になるし、シャワーにしても、温水と冷水2つの蛇口を同時に開けて温度調整するタイプなのだが、使っているうちに段々熱くなってきたりして、ちょうどよい温度で使い続けるのが意外に難しい。前のマンションではこんなことなかったぞ。追い炊き機能もちゃんとあった。今更言っても詮無いが。
あと、これはマンションとアパートの違いとは関係ないが、立地がたいそう不便になった。同じ荒川区内とはいえ、前のマンションは東京メトロ日比谷線・三ノ輪駅から徒歩約8分。この東京メトロ沿線というのが、いま思うと大きかった。色んな意味で。
まず、都内ならどこへ行くにも便利。近所に飲食店やスーパーも不自由しないくらいあった。その中でも「ワイズマート」というスーパーは24時間営業で、これが夜勤の多い私には大変ありがたかった。オリンピックというホームセンターも100円ショップも徒歩圏内。100円ショップは2~3年ほど前になくなったけど。
後で聞いたが、三ノ輪周辺は隣の入谷よりスーパーの数が多いらしい。コンビニだと高いから、スーパーが多いというのは暮らしやすさの条件の1つだよね。その入谷までも歩いて行けるのが、私にとっては便利だった。入谷にあるいきつけの居酒屋「川セ美」にも、鶯谷駅近くの何店かあるお気に入りの居酒屋にも、なんなら上野公園の美術館や博物館までも、歩いて行けた。今思うと、大変便利で暮らしやすいところに住んでいたんだなあ、としみじみ。
それに比べて、新居のアパートは、最寄り駅は「日暮里・舎人ライナー」の「熊野前」だが、日暮里から3駅離れただけなのに、駅周辺にはなーんもない。コンビニさえない。一番近いコンビニはセブンイレブンが駅の向こう側にあり、まあそこが近いといえば近いが、駅を出て自宅の反対側へ向かうのは億劫だ。駅前にあるのは、駅前なのに駐車場付きのドラックストア「ぱぱす」、その2階に「サイゼリヤ」、これだけである。もちろん深夜営業はしていない。深夜か早朝が買い物タイムの私にとっては、あって無きが如し、である。
まあそうはいっても、一応は荒川区内、つまり東京都内なんだから、すぐ近くにはなくても、足を伸ばして探せば、色々あることはある、と思う。「熊野前」駅から新居のアパートまで徒歩5~6分の間にも天ぷら屋が1軒、結構人が来ているのでもしかしたら有名店なのかもしれないケーキ屋もあり、その周辺にも、えっ、こんなところに?と思うような店もちらほら見かける。そういう店を開拓するのも楽しい、かもしれないが、何しろ今は忙しいからねえ。そんなご近所散策ができるのはいつの日やら。
ということで、マンションとアパートの違いを述べるつもりが、アパートは壁が薄いだの追い炊きがないだの、新居の文句になってしまった。前のマンションが良かったなあ、との回顧も虚しいが、しょうがないよねえ。立地の不便さも含め、引っ越しして良くなったことは何ひとつないんだから。
じゃあ、なんで引っ越ししたか、といえば、これは前回述べた通り、家賃がタダ、だから。どんなに不便になろうと、壁が薄かろうと、部屋が狭かろうと、電気代が高かろうと、家賃タダ、に優る条件はなし。実際、すでに2カ月が経過し、引っ越ししていなければ払わないといけなかった前のマンションの家賃2か月分が浮いて大助かり。もう感謝しかない。逆にいえば、家賃タダならもっと劣悪な条件でもしかたがないのに、新居のアパートは、普通に入れば恐らく家賃6万円か7万円ぐらいはするであろう物件である。それがタダ。そんなうまい話、あるんですねえ。
それにしても、なんで家賃タダで住めるの?と疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょうが、その回答は、今回のこの原稿がまたしても文字数超過したことだし、いずれ機会があれば説明するとして、ここでは割愛。今回ブログもここまで。いや、ほんというと、私自身も何故だかイマイチよくわかってないんですよね。なんで家賃タダでいいのか。
わからないながらもとりあえず引っ越して早2カ月。住めば都、という言葉もある通り、忙しくて片付けるヒマもないなりに新居のアパートから「舎人ライナー」に乗り、バイト先や店に向かう毎日にも徐々に慣れてはきている。
じつは今回は、その「舎人ライナー」についての話をしよう、と思っていたんんだけど、例のよって長文駄文が過ぎてそこまで辿り着けず。「舎人ライナー」の話は次回に回します。あ、「舎人」は「とねり」と読みます。知らないと読めないし、変な名前だよねえ。という話を次回で。ではまた。