バスケットボール日本代表男子、パリ五輪出場決定!

遅ればせながら、バスケットボール日本代表男子のパリ五輪出場決定、おめでとうございます。いやあ、それにしても、日本中がすごい騒ぎですな。五輪出場を勝ち取ったカーボベルデ戦が先週の土曜日。この原稿を書いているのが明けて翌日の日曜日、ではなくてそのまた翌日の月曜日の夜、例によって介護施設での夜勤中に書いているわけだが、2日過ぎてもまだテレビのスポーツ番組はバスケ一色。まるで野球のWBC関連報道の再来である。

じつは、何を隠そう、私も学生時代はずっとバスケをやっていた。小学校のミニバスからはじまり、中学、高校もバスケ部だった。中学では一応、県大会準優勝という成績を収めたが、私個人的には、県大会の最後の方でレギュラーを外され、試合に出れない悔しさを味わったこともあり、中学ではあまり良い思い出はない。

面白かったのは高校のバスケ部で、成績では結局1部には上がれなかった(当時の福岡県は1部が4チーム、2部が4チーム、その他が3部という構成で、我がチームは結局2部の1位で終わった)が、1年生大会というものがあって、そのときに当時、いや、今でも全国大会の常連である強豪・福岡大付属大濠高校に勝つ大金星を挙げた。そして、その大会で優勝した。それが私の高校バスケにおける最大にして唯一の自慢である。

その試合ではなぜか調子良くシュートが入って、たしか私が最多得点を挙げた、と記憶している。といっても、まあ、高校生になったばかりの1年坊同士でのまぐれ勝ちみたいなもので、自慢といっても完全な内輪自慢。仲間内だけで威張れる話で、外に向けて威張れる話ではない。のは重々承知している。実際、3年生になってからの対大濠戦では話にならないぐらいの大差で負けた。

バスケットボールの写真

それでも、いまだに当時のチームメイトと酒を飲むと、必ずその1年生大会の話が出て、場が盛り上がる。いいじゃん、内輪自慢で。そうやって何年たっても、いい歳こいたオジサンになっても、いまだに高校時代の話に花が咲く、というのは、いいもんですぜ。まあ、誰でもみんなそういう話題というか、エピソードの1つや2つは持っていると思うけど、やっぱり、そういう話題をより多く持っている人の方が、豊かな人生を歩んできた、と、いえるんじゃないでしょうかね。

おっと、私の話はどうでもいいか。日本代表の話である。テレビなどの報道を見ていると、どこも口を揃えて、歴史的勝利、とか、歴史的快挙、などと言っている。たしかに、これまでの日本のバスケットボール界の低迷ぶりからすると、奇跡的な勝利であることに異論はない。間違いなく、歴史は変わった。私自身もバスケット経験者だから、なおさらわかる。まだ見ぬ景色を見せてくれた日本代表に拍手を贈りたい。

ただ、ねえ。ひねくれ者の私からすれば、あんまり騒げば騒ぐほど、それまでがいかに弱かったか、というのが強調され、忍びない気持ちになる。そんなのは私だけかもしれないが。たとえばフィンランドに勝ったときは、欧州勢に初勝利、だって。え、今までいっぺんも勝ったことないの?と思いませんでした?

パリ五輪出場が決定したときも、48年ぶり、はいいとして(いや、よくはないか。そんな昔か、だよね)、自力での出場は初、だって。おいおい、今まで自力で出場したことなかったのかよ、と、突っ込みを入れたのは私だけではないだろう。今回の快挙で、逆に、それまでの日本がいかに弱かったか、を思い知らされた。

とはいえ、昔聞いた話だから今でもそうかは知らないけど、学生の部活でバスケットをやっている子供の人数は、たしか野球やサッカーを抜いて1位だそう。事実なのかは調べてないからわからない(面倒臭いので誰か調べてください)が、事実じゃなくても、野球やサッカーに匹敵するぐらいの競技人口がいることは違いない。

競技人口が増えれば、それに伴い国際ランキングも上がっていってしかるべきだが、バスケットは一向に海外で勝てず、競技人口が多いわりに世界との差が最も開いているスポーツの代表格であった。

記憶に新しいところでは、前回大会で渡辺雄太が放った、「日本代表として恥だと思います」という一言。これは印象的、かつ、象徴的、でもあった。しかし、今考えると、負けたことを“恥”だと思うのは、勝つつもりだったから、で、それ以前は負けて当たり前だった、ということだ。負けたら恥、という気持ちが今大会の勝利につながった、というと深読みのし過ぎかもしれないが、当たらずとも遠からずだろう。

バスケットボール会場の写真

勝ち方もよかった。バスケットボールという競技は、1ゴール2点、今回ですっかり日本の武器として知られるようになった3P(スリーポイント)シュート成功で3点、を積み重ねて得点差を競うもの。野球の満塁ホームランのような一発逆転はない。なので10点以上の差が開くと逆転は困難、20点差がつけばほぼ絶望、と言われている(時間にもよるが)。

ところが、対フィンランド戦では一時最大18点差をつけられながら、最後の最後で大逆転。対ベネズエラ戦でも最大15点差をひっくり返した。私も2戦ともテレビで観たけど、2戦とも前半で、いや、第3クォーターまで、こりゃダメだ、と思っていたら、あれよあれよ、の逆転劇には驚いた。バスケ経験者としては信じられない、まさに奇跡、という表現が決して大げさではない勝ち方だった。

まあ、会場が沖縄で、日本にとっては地元開催であったのが大きかったよね。後で選手の誰かも言ってたけど、これが海外での試合だったら勝てなかっただろう。ホームコートアドバンテージのおかげで勝ったようなもんだ。けど、勝ちは勝ち。勝ちの価値(ダジャレじゃないよ)は揺るがない。

チームとしてもいいメンバーだった。若手の台頭あり、ベテランの奮起あり、帰化した外人の活躍もあって、見どころ満載だった。ほんとは選手を一人ずつ取り上げて、その活躍ぶりとか、想いとかを述べていこう、かな、と、思ったけど、それをやるとあまりに長くなりすぎるのは目に見えているので、今回はやめといて、ここで一旦終了。

またいずれ機会があれば、今大会で一躍名を上げた川村&富永の若手コンビとか、チームを救ったといっても過言ではないベテラン比江島とか、もはや大黒柱のヌートバー、じゃなかった、ホーキンソンとか、各々の活躍ぶりを事細かに語りたいものだが、はてさて、いつになるやら。書きたいことがたくさんあるのに、筆不精。ライターのくせに、ダメだよねえ。あ、そういえば先月、珍しいことに、5~6年ぐらい前に仕事が途絶えたきりになっていた出版社から、久ぶりに仕事の依頼があった。ほぼ開店休業状態のライター業に超久々に舞い込んだ仕事であった。そのことについてもいつか書こうと思います。ではまた。