痛風の春

春の桜の画像

例年になく寒い春がようやく明けたと思ったら、いきなり夏が来た。初夏の爽やかさなんぞ微塵もない、もはや真夏か、と紛うような暑さ。やれやれ、まだ4月というのにこうも暑いと、7月8月はいったいどれほどの猛暑になることやら。先が思いやられますな。

本日の出勤時(介護の方ね)も、半袖で十分、だったけど、一応、念のため長袖のアウターを小脇に抱えて家を出た。朝方はさすがに半袖じゃ寒かろう、と思って。でも、この様子じゃ朝方でも長袖は必要なさそうだな。コートを脱いだらいきなり半袖、というのもちょっと記憶にはない春、というか、初夏である。

というわけで、現在の時刻は午前2時。例によって介護施設での夜勤中にこの原稿を書いている。その前に、いつもの某夕刊紙に載せる書評風の原稿を1本、書き上げてからこのブログにとりかかったのでこの時間になった。

あ、前回のブログを読んでいただいた方なら、ブログ更新が遅れた言い訳の1つに、夜勤中に原稿を書くのが難しくなった、とあったんじゃなかったっけ? とお思いでしょうが、今日はたまたま……いや、たまたまじゃないな。これについては色々とややこしい説明が要る。なのでこれは後回しにして、先に言い訳の1つ目、「痛風」の話をしたい。

前兆は3月の半ばぐらいからあった。何の前触れもなく、右手の甲が痛み出した。手のしわとしわを合わせて、幸せ――じゃないけど、両手のひらを合わせると、明らかに右手が腫れてぶ厚くなっている。清掃の仕事仲間に見せると、一目で腫れているのがわかる、と言われた。他人が見ても一目瞭然とは、相当の晴れ、違った、腫れ、なのだろう。

でも、まあ、これは年に1、2回、季節の変わり目にはよくあることだ。そんなに酒量が過ぎた覚えがないのに、突然手か足が痛み出す、つまり「痛風」が再発するのは、年中行事みたいなもの。痛風持ちとはそういうことだ。思うに、酒よりもむしろ、疲れ、のほうが原因としては大きいような気がしている。

今回も、またか、という感じであった。むしろ、痛むのが足じゃなくてよかった、手なら軽いほうだろうし、1日寝れば治るだろう、と思った。そして実際、1日か2日安静にしていれば(仕事は休まず行ったが酒は飲まなかった、という意味で)、ほどなく痛みは治まり、腫れも引いた。そのタイミングで迎えたのが、3月27日、お花見である。

いやあ、油断しましたねえ。というか、せっかくのお花見で飲まずにいられるか? 私はムリである。今回のお花見の参加者の1人に、いつもはバカバカ飲んでるくせに、今回は腎炎だか何かで酒が飲めない、と言って、ヨーグルトとか飲んでたヤツがいたが、私なら酒が飲めないときは参加しないだろう。それぐらい、意思の弱さには自信がある。って自信の持ち方が間違っているな。

ここでちょっと、当日の詳細を。というのは、当日お花見に行く前に書いたけどアップしないでそのまま置いておいた原稿があるので、それをここで使いたい。また長くなるけどご勘弁を。

 

現在の時刻は午前11時。京急本線・「大森町」駅前のサイゼリヤでこの原稿を書いている。「大森町」といえば、前回のブログを読んでいただいた方ならピンと来ますね。そう、「唐揚げのジョンソン」です。じつは今日はお花見で、料理は各自持ち寄り、ということなので、「唐揚げのジョンソン」の唐揚げを買って、持っていこう、という作戦。言わなくてもわかっていると思うけど、介護施設での夜勤明け、です。眠てえ。

但し、「唐揚げのジョンソン」の開店は12時。夜勤の終了は10時で、施設から歩いてものの15、6分で着くから、時間が余る。だから今日もすぐ近くの「コメダ珈琲店」でモーニングを食いながら待とう、と思ったら、ありゃりゃ、「コメダ珈琲店」の前で待っている人が4、5人はいるじゃないですか。「コメダ珈琲店」、人気あるなあ。この日はたまたま日曜日だったから、かもしれないけど。

で、たとえ4、5人でも待つのが嫌いな当方、さっさとあきらめて、では、マックでもいいか、と思ったら、ななんと、マクドナルドでも行列が。う~ん、大森町、舐めたらあきまへんな。どうしたもんかと少しウロウロしてたら、駅前というか、駅裏にサイゼリアを発見。11時開店だったので、少し待って、入店し、サイゼ飲みしながら、「唐揚げジョンソン」の開店を待つことに。

したんだけど、なんだかなあ。席に着いて、「とりあえず生!」と言う前に、注文は紙に記入してくれ、だと。そうか、サイゼリヤは久しぶりで知らなかったけど、いつの間にかそういうシステムになっていたのね。では、素直に従って生ビールの番号を記入。つまみに「カリッとポテト」(250円)を頼んだ。

サイゼリヤ カリッとポテトの画像

サイゼリヤの「カリッとポテト」

けど、なんだかなあ。生ビールは出てくるのが遅いし、近くの席で子供を叱っているお父さんの声がデカくてうるさいし、ガストのハッピーアワーで200円生ビールを飲んでいる身には400円生ビールは高い。「カリッとポテト」も、YouTubeだかSNSだか忘れたけど、サイゼの神メニューだ!と絶賛していた記事を読んだ記憶があったので頼んでみたけど、さほどでもなかったなあ。

まあ、サイゼリヤはビールよりもワインだから、次は赤ワインをデキャンタで。200円。これは安いね。もひとつついでに、おすすめだという「イタリア風もつ煮込み」(350円)を頼んだ。が、これもイマイチだった。いや~、サイゼリヤにはわりと好感を持っていて、娘と食事するときなんか結構よく使っていたけど、1人で飲むなら、私はガストの方がいいかなあ。ハッピーアワーがある平日限定だけど。

そうこうしているうちに12時になったので「唐揚げのジョンソン」へ。唐揚げのテイクアウトを頼んで、待っている間に生ビールを1杯、じゃ終わらずにお代わりを勧められて2杯、つまみにポテトサラダともつ煮込みもつい頼んでしまった。

はあ~、お花見の前に酒飲んでつまみも食べてどうする? と自分で自分に突っ込み入れつつ、唐揚げの袋をぶら下げて電車に乗る。乗っている間に少しは腹も減るだろう、と思ったら、気のせいか、逆に腹が膨れてきた。年のせいかな?

そんなわけで、すでに結構酒が入って盛り上がっている花見の席に到着。各々が持ち寄った美味そうなものがたくさん並んでいたが、腹一杯でちょっとしか食べられなかったのが残念至極であった。まあ、酒はそれなりに飲んだけど。

その酒がいけなかったらしく、花見の翌日あたりから、今度は右足の親指の付け根が痛み出した。それでも、この期に及んでもなお、さほど気にはしない私。というのは、「痛風」にかかる人の多くは足の指の付け根が痛む、らしいが、私の場合はなぜか、足が痛むときは指ではなく、足首がまるで捻挫したみたいに痛む。足の指が痛んだことはない。

痛風の画像

だから、足の指が痛いのは、人並みの「痛風」になった証拠だ、などとバカ言ってる場合ではなかった。その週は珍しく水曜日に清掃の仕事が入っていた。いつもの木曜日と金曜日なら床の清掃で、床に荷電水を塗ってポリッシャーを回す(その詳細はまたいずれ)が、水曜日はトイレ清掃か構内のゴミ拾い。ゴミ拾いなんぞに人員を割り当てるのは人件費の無駄だと思うが、これは当日ドタキャンが出て人数が足りなくなった場合に備えての保険の意味合いもあるのだろう。それぐらい、この清掃の仕事では決まった人数をきちんと揃えることが大切となる。なにしろ東京メトロだからね。

で、その水曜日、私は構内のゴミ拾い、余った時間で目立つ汚れをモップで拭く、という仕事を割り当てられた。いつもなら、こんな仕事で給料を貰えるなら楽でいいや、と思うところだが、その日に限っては、「痛風」で右足の親指が痛むので、歩くのが辛い。辛いけど、しょうがない。痛む足を引きずりつつ、駅の構内をゴミを拾いながら歩いた。

そうしてビッコひきながら歩いているうち、次第に足指だけでなく足首も痛くなってきた。こりゃいかん。このままでは明日(も木曜で清掃の仕事が入っている)に差し支える。そう思い、ゴミ拾いだけ我慢して早めに終わらせると、残りの余り時間は休憩させてもらうことにした。その日のバイトリーダーにそう言うと、すんなり休憩して「いいよ」と許可が出た。どうせ余剰人員だからね。

体に異変が現れたのは、その休憩中であった。倉庫(休憩室なんぞシャレたものはないからね)でパイプ椅子に座って休んでいると、なんだか体の奥から変なものがゾクゾクっとせり上がってくるような感覚が。なんだ、これは。じっとしていられなくて思わず立ち上がった。

胃から口へとせり上がってくるものなら、過去何度も経験がある、飲み過ぎや二日酔いでゲロ吐くときのあの感覚(尾籠な話ですいません)だが、それだったら吐いてしまえばラクになることはわかっているから、うろたえることはない。しかし今回はそれではないようで、吐き気はしない。

頭をよぎったのは、4年ほど前、自宅で急に気分が悪くなり、ひどいめまいもして、生命の危機を感じ、自分で救急車を呼んで病院へ搬送してもらったときの記憶。このときは「真珠腫性中耳炎」と診断され手術を受けたが、今回も救急車を呼ぶべきか? と、そこまで思った。が、めまいはしてないから、中耳炎の再発ではないようだ。

さて、どうする? ほんとは床にひっくり返って横になりたかったが、倉庫の汚い床に寝るのははばかられる。かといって立っているのも辛くて、膝に手をつき、頭を下げていたら、せり上がってきたものがまるで頭から抜けたかのように、ポタポタと頭や顔から汗が滴り落ちだした。

なんだこりゃ? こんなの初めて、である。いやあ、いくつになっても初めての経験って、あるもんだなあ、とか、そうか、これがアブラ汗、というやつかな、などと埒もないことを考えながら、ガマガエルのように汗を流していた。やがて小さな水たまりができるぐらいの汗をかいたら、いくぶんすっきりした。

このときの感覚を言葉で表現するのは難しいが、そうだな、なんというか、足の痛みが熱となり、溜まりに溜まって許容範囲をオーバーし、体を突き抜けて頭から汗となって出て行った、かのような……。よくわからないですよね? 私もわかりませんが、強いて言えばそんな感じだった。人間の体って、不思議ですね。

 

結局、体の不調はそれ以上の大ごとにはならずに現在(この原稿をアップした日ね)に至る。その後2、3日で腫れもひいた。仕事を休まずに済んだのが何よりである。え、酒ですか? はい、もちろん、それ以降は飲んでませんよ。

って、ウソつきました。先週の土曜日、いつものメンバー(例のイタリアンバーの常連客)の1人が、ふるさと納税で入手した鯖を食べる会、というのがあって、そこで日本酒を少々。正直いえば2合ほど、飲みました。すいません。でも、そこでは大丈夫。今のところ痛風は鳴りを潜めている。

なか卯 あさりくり~む親子丼の画像

なか卯「あさりくり~む親子丼」

当然、夜勤明けの一杯も自粛中。といっても、真っ直ぐ帰るわけではない。ここんとこよく行くのが「なか卯」である。ここの「あさりくり~む親子丼」(並盛680円)がお気に入り。期間限定メニューのようでいつなくなるかわからないから、あるうちにせっせと食べよう、と思っている。悲しいのは、「松屋」の創業カレーがなくなっていたことだ。代わりに登場したオリジナルカレーはいまいちだったので、「松屋」からは当分足が遠のくだろう。

そうして何度か「なか卯」に行ったら、あることに気がついた。それは――いや、やめた。今回はここまでにして、その話はまたいずれの機会にしたい。ブログの文章がいつも長過ぎるので、なるべく短めにしよう、と言った傍からまた長くなってしまったから、ね。というわけで、今回はこれにて。次回へ続く。